#4 神崎 浩輝




(アクション・1)

1AP 滞在先。墓場の先で見付けたヘリポートについて尋ねる。目的と作られた時期について。また村でヘリを操縦できる人間がどれくらいいるかも。

2AP 呼び出しに応じて、本家へ。

3AP 前の代の村長に会いに行ってみます。蒼戸空也に会ったこと、蒼戸雄三郎の名前を見付けたことを話して、蒼戸について知っていることを尋ねてみます。



(リアクション・1)

【ヘリポートについて尋ねる(滞在先)】
 村はずれの共同墓地の先にあるヘリポート。平時は100人程度しか村民がいない厨子村には過ぎた施設だと言える。しかも3機のヘリコプターが常時待機しているとなれば尚更だ。滞在先の親戚に、ヘリポートの建設経緯について尋ねてみる。

 ヘリポートは先々代の村長が立案して作らせた施設であるとの事。先々代の村長は香住家の2代前の当主(つまり、現当主・香住須美子の祖父)であり、あなたとも繋がりのある人物だ。
 親戚が苦笑いを浮かべながら付け加えるには、香住家の当主は押しなべて派手好きな傾向があり、ヘリポートも切実な要望に従って建設されたものではなかったようだ。つまり、村長の力を誇示するデモンストレーションとして建設された意味合いが強い。確かに有事に際して役に立つものではあるが、建設されてから現在まで、点検飛行以外でヘリコプターが飛んだ事はただの一度もない。
 ヘリコプターの操縦者も御三家がそれぞれ一人か二人抱えているくらいで、一般の村人には縁遠いものだ。管理は御三家が持ち回りでしているらしく、墓地まで足を運ぶ村人はいても、ヘリポートまで足を延ばす村人は皆無と言っても良い。

 私たちの祖先が作った高価な遊休資産ですよ、と親戚は笑って締めくくった。当然、あなたの親戚筋であるからには、彼らも香住の血縁である。バツが悪そうな口ぶりではあるが、特に後ろめたさを感じている訳ではなさそうだ。それは、ヘリポートくらいの“お遊び”は厨子村にとって大した事ではない、とでも言っているかのようだった。


【香住家の呼び出し】
 応接に入ると、そこには既に香住須美子が待っていた。抑え目の照明の中に浮かび上がる須美子の仄白い貌は、はっきりと分かるほど青ざめている。
 手振りであなたに座るように促し、それを確認すると消え入りそうな声で話し出す。
「浩輝さんに来てもらったのは他でもありません」
 声音が震えている。自らを落ち着けようとでも言うのか、須美子の目は閉じられたままだ。吐息は静かだが、深く息継ぎしているためか、両肩が大きく上下する。香住家の当主としての威厳、女性としての艶っぽさが失われていた。明らかに須美子は余裕を失っている。
 ゴトリ、と。須美子はテーブルの上に何かを置いた。油紙に包まれた、三角形の物体。―――拳銃。
「これで、夕貴を始末して頂戴」
 静かな中にも隠せない凄絶さが含まれた、須美子の一言。
「あの子は厨子夜婚の儀を邪魔しようとしています。香住を含めた御三家が、ひいては厨子村が豊かさを保っていくためには、どうしても厨子夜婚の儀の執行が必要なのです。それを邪魔しようとする者は、御三家が全力で排除しなくてはなりません」
 須美子の目は閉じられたままだが、その声から並々ならぬ決意が見て取れた。その声には僅かばかりの懊悩も葛藤も聞き取れはしない。
「後始末は心配要りません。間違ってもあなたに嫌疑がかからないように、御三家が手配します。だから―――」
 須美子の目が開かれる。
「夕貴(あの子)を殺して頂戴」

【出題】
 須美子の言葉を受けての、あなたの行動を申請してください。「拳銃を手に取って頷く」「拳銃を手に取らずに無言で立ち去る」等、なるべく具体的にお願いします。



(アクション・2)

 基本的に殺人を引き受ける気は無いですが、話は聞いてみたいですね。
 夕貴が具体的に何をしようとしているのか、また厨子夜婚の儀が中止になれば、何が起こると言うのか聞かせてもらえなければ引き受けられないとか言ってみます。
 まともな答えが返って来なければ、そのまま立ち去りますし、話が聞けるなら後はその内容次第ですが、殺人は最後の手段でまず僕が説得してみましょうとか言ってさっさとその場を離れるようにします(説得する気なんてないですが)。
 いずれにしろ拳銃には一切手を触れません。また須美子が逆上してしまわないよう、部屋を出るまで気を配っておきます。



(リアクション・2)

【香住の指令】
 あなたからの質問に、須美子は一切答えようとはしなかった。2つの質問を終えた所で言葉が切れ、しばし無言の時間が流れる。
 沈黙を破ったのは、果たして須美子の方だった。
「浩輝さん・・・いえ、神崎。質問を許した覚えはありませんよ?」
 “浩輝”でなく、“神崎”。須美子は敢えて言い直す事によって、血縁の「格」を示した。須美子は「香住」本家、しかもその当主。「神崎」は傍系に過ぎない。かつては本家の当主から「死ね」と言われれば、血縁の末端は否応なく死を選ばされたほどの「血の呪縛」。須美子は古のしきたりを持ち出してまで、あなたと対峙している。そこに隙はない。人間としての年輪、地位が作り出した覚悟に関して、あなたが須美子に勝る余地はなかった。
「諾か、否か。それだけを聞かせて頂戴」
 須美子は再度あなたに返答を迫る。

【出題】
 指令を承諾するか、拒否するか、どちらかに決めて申請してください。



(アクション・3)

 拒否します。
 どんな形でも承諾したら、二度ともとのところ(家族のところ)に帰れなくなりそうだから、と言うことで。

 行動的には、「お断りします。村や家のことを持ち出すのであれば、当主であるあなた自らの手でけじめを着けるのが、筋というものでしょう」と出来る限り、強い口調で断り、後は振り向きもせずに部屋を出ていきます。



(リアクション・3)

【拒否】
 あなたの態度を受けた須美子の目が、怒りに燃え上がる。今まで聞いた事のない怨嗟すら伺える声音が、須美子の咽喉から吐き出され、あなたの背後から浴びせられる。
「それは香住家を、厨子村を敵にまわしたと認めても良いわね?」
 テーブルの上で組まれた両手が、怒りで小刻みに震えている。振動でテーブル上に置かれた拳銃がカタカタと音を立てている。今にも銃を抜き放って発砲しそうな雰囲気すら漂う。
 やがてカタカタという音は収まり、須美子の震えも止まる。フーッと深く息を吐くと、先ほどよりは落ち着いた声で須美子は告げた。
「出てお行き。今から香住家と神崎は無関係です。街からタクシーでも何でも呼んで、それに乗って厨子夜婚の儀が始まる前に厨子村から消えなさい」
 部屋を出て行くあなたに、須美子は一言念を押した。
「間違っても、厨子夜婚の儀を邪魔しようなどとは思わないことね」


【先代の村長を訪ねる】
 先代の村長は芦鷹家の隠居として、本宅とは別の場所に住んでいる。本宅の広大な造りとは比べるべくもないが、それでも一般民家よりは大層立派に思える平屋建ての住宅が、先代村長の住居だった。
 来客とは珍しい、と言って先代村長はあなたの来訪を歓迎した。今回の厨子夜婚の儀は祁堂家から花婿を、香住家から花嫁を出すので、そちらの両家には来客が引っ切り無しと聞いているが、宮司を務める芦鷹家は特に祝い客が訪れないので寂しかったと言って笑った。
 しばらく世間話を続けた後、あなたは今回の来訪の目的である蒼戸雄三郎についての話を切り出す。
 蒼戸の名前を聞いた先代村長の顔は明らかに強張り、声の調子がひそめられた。この村で蒼戸の名前は禁忌だと前置きしてから、先代村長は、まるで盗聴を心配するかのように辺りを見回してから、囁くような声で話し始めた。

 先代村長が知る限り、蒼戸の名前は前々回の厨子夜婚の儀の後から厨子村の歴史から抹消されたとの事だ。その理由は記録に残っていないが、押さえきれなかった口伝えによる情報を総合してみると―――

 50年前の厨子夜婚の儀の嫁神(芦鷹家)に横恋慕した男がいて、祭儀を阻止しようと企んだ。しかし、稀代の霊力者と謳われた時の宮司(祁堂家)によってその企みは潰える。だが、その代償は高くつき、実に53名もの命を巻き込んだ大事件となった。原因を作った男は混乱に紛れて姿を消し、その消息はようとして知れなかった。御三家は男を厨子村の住民台帳から抹消し、男が存在した事実を跡形もなく消し去った。

 その男の名が蒼戸雄三郎だと聞いている、と言って先代村長は言葉を切った。しばらく無言の間があってから、次の言葉を加える。
「このことは一切他言無用だ。御三家を敵に回したくなければな。・・・やはり話すべきではなかったかも知れぬな」

 その後話が弾む事はなく、ギクシャクとした雰囲気のまま、あなたは先代村長に別れを告げて帰途につく。