#4 香住 薫
(アクション・1)
1AP目:「四神の護符奪取」
夕貴が立案したとおり、護符奪取に参加する。
なお、作戦には天野氏も参加予定(のはず)。
また、作戦が失敗した(護符が無かった、発見されて捕まりそう)ときには楢須藤氏に携帯で連絡するものとします。
2AP目:「香住家の呼び出しに応じる」
もちろん、護符奪取で捕まらなかった場合です(笑)。
夕貴には来ないほうがいいと言います。
本家に赴いた際、沙奈枝に会わせてくれるように頼みます。
3AP目:村を見て回る(厨子村全域)
2AP目の結果によりますが、「白と紫の魔方陣」になりそうな装飾品等を探します。
(リアクション・1)
【四神の護符奪取】
未明、厨子神社へ続く石段のたもとに人影があった。その数、三。四神の護符を狙う、言わば“にわか盗賊団”である。盗賊団の首領は、香住夕貴。昨日とは違う、活動的な出で立ちで計画に臨む。
胸部に紫色で「Goddess!!」とプリントされた白のTシャツは、左わき腹の部分で結ばれて丈を詰められており、ヘソとくびれたウエストの素肌が見えている。ボトムはデニムのショートパンツで、足元は編み上げ式の白いサンダル。活動的というよりは挑発的でさえある軽装の夕貴。トレードマークの金色のポニーテールは頭頂部で結い上げられ、黄橙色のシニオンキャップを被せられている。
「一発勝負よ。失敗したら全力で逃げて」
落ち合う場所は、昨日の廃水車小屋と予め決めてある。夕貴の最後の指示に頷き合うと、あなたたちは境内に向かって石段を上り始めた。
薄闇に沈む厨子神社の境内に人影はない。しかし、本殿からチラチラと明かりが漏れている。夕貴の見立て通り、寝ずの番は三名だ。後1時間もしない内に、見張りは交代の時間を迎える。その直前の、気の緩んだ瞬間を狙うのが夕貴の目論見だった。息を潜めて本殿を窺うと、三人とも居眠りしているのか、コックリコックリと舟を漕ぐ者や、横になっている者さえいる。
あなたたちは顔を見合わせ、互いに目配せすると、足音を忍ばせて本殿へと迫った。
張り番が目を覚ます気配はない。一気に厨子までの距離を詰め、手を伸ばす。
厨子の前まで足を進めた時、低くうめいて張り番の一人が寝返りを打った。その際、あなたの足に張り番の体が触れる。張り番の目が薄っすらと開き、一瞬後、その目が大きく見開かれた。
「誰だ、お前ら!?」
誰何の声を合図に、三人の張り番が全員目を覚ます。立ち上がればすぐにでも飛びかかって来そうな様子だ。
「退いて」
夕貴の声を合図にあなたたちは本殿から飛び出す。打ち合わせていた通り、思い思いの方角へと散り、追っ手を撒く。不幸中の幸いか、追っ手に捕まった者はいなかった。
朝日が射す頃になって、水車小屋に三人が集合した。あなた、香住夕貴、天野信一。皆一様に肩を落とし、互いを労う言葉も出てこない。
計画は失敗した。
(※ロールに1回失敗しています)
【香住家の呼び出し】
応接に入ると、そこには既に香住須美子が待っていた。抑え目の照明の中に浮かび上がる須美子の仄白い貌は、はっきりと分かるほど青ざめている。
手振りであなたに座るように促し、それを確認すると消え入りそうな声で話し出す。
「薫さんに来てもらったのは他でもありません」
声音が震えている。自らを落ち着けようとでも言うのか、須美子の目は閉じられたままだ。吐息は静かだが、深く息継ぎしているためか、両肩が大きく上下する。香住家の当主としての威厳、女性としての艶っぽさが失われていた。明らかに須美子は余裕を失っている。
ゴトリ、と。須美子はテーブルの上に何かを置いた。油紙に包まれた、三角形の物体。―――拳銃。
「これで、夕貴を始末して頂戴」
静かな中にも隠せない凄絶さが含まれた、須美子の一言。
「あの子は厨子夜婚の儀を邪魔しようとしています。香住を含めた御三家が、ひいては厨子村が豊かさを保っていくためには、どうしても厨子夜婚の儀の執行が必要なのです。それを邪魔しようとする者は、御三家が全力で排除しなくてはなりません」
須美子の目は閉じられたままだが、その声から並々ならぬ決意が見て取れた。その声には僅かばかりの懊悩も葛藤も聞き取れはしない。
「後始末は心配要りません。間違ってもあなたに嫌疑がかからないように、御三家が手配します。だから―――」
須美子の目が開かれる。
「夕貴(あの子)を殺して頂戴」
【出題】
須美子の言葉を受けての、あなたの行動を申請してください。「拳銃を手に取って頷く」「拳銃を手に取らずに無言で立ち去る」等、なるべく具体的にお願いします。
(アクション・2)
薫は目の前に置かれた拳銃を見つめながらしばらく無言でいた。
そして、かすかに頭を振ると、正面の須美子を見た。
「夕貴を。あなたの娘を殺せと、そう仰るんですか?」
その口調は妙に落ち着いていて、自分でも不思議だった。まるで、頭のどこかが麻痺してしまったようだった。
儀式のために自分の娘を殺す。
それが、古い家の長だからなのか、それとも須美子という女性がそうなのかは解らないが、いずれにせよ常軌を逸している。
「本家の長の仰ることでも、そんなことはできません」
この儀式に関わっている人たちは正気を失っているのだろうか。
夕貴へのこの対応からすると、沙奈枝を生贄にすることなど当然のように行うだろう。薫は、まだ心のどこかで事態を甘く見ていた自分を罵った。
「それでは、これで失礼します」
沙奈枝を助けなければ。
薫は、決意を新たに立ち上がった。
この後、夕貴には事情を話そうと思ってます。
ツライけど、夕貴の身が危険そうなので。
(リアクション・2)
【拒否】
あなたの態度を受けた須美子の目が、怒りに燃え上がる。今まで聞いた事のない怨嗟すら伺える声音が、須美子の咽喉から吐き出される。
「それは香住家を、厨子村を敵にまわしたと認めても良いわね?」
テーブルの上で組まれた両手が、怒りで小刻みに震えている。振動でテーブル上に置かれた拳銃がカタカタと音を立てる。今にも銃を抜き放って発砲しそうな雰囲気すら漂う。
やがてカタカタという音は収まり、須美子の震えも止まる。フーッと深く息を吐くと、先ほどよりは落ち着いた声で須美子は告げた。
「出てお行き。今から香住家とあなたは無関係です。街からタクシーでも何でも呼んで、それに乗って厨子夜婚の儀が始まる前に厨子村から消えなさい」
テーブル上の拳銃を袖にしまい込み、須美子は席を立つ。出口で一度歩みを止めると、一言念を押して須美子は姿を消した。
「間違っても、厨子夜婚の儀を邪魔しようなどとは思わないことね」
【厨子村を見て回る】
数時間後に大祭を控えた厨子村を見て回る。
既に準備の方は万端整っている様子で、喧騒は昨日ほどではない。それよりも、25年ぶりの祭儀の開催を息をひそめて待つような、そんな静けさが村を包んでいるようにさえ思える。祭りの前と言えば、浮かれた子供たちが騒ぎ立てていそうなものだが、初日からの観察によって村には子供がいないことが確認されているため、余計に大人たちのヒソヒソとした囁き声が耳に付く。
あなたは『ゐをどノ書 輝ノ巻』に記されていた「白と紫の魔法陣」に繋がるものがないかと、村を見て回っている。
神社付近から、御三家の邸宅、民家の軒先等をくまなく探してみるものの、残念ながらそれと思しき品を見つけることは出来ない。厨子神社の境内には宝物殿が建っていたが、もしかしたらその中にはあるのかもしれない。宝物殿内部を捜索する時間は、もうないのが悔やまれる。
降来主が厨子耶様と敵対する神格と考えられているならば、厨子耶様を鎮守とする厨子村が降来主に由来する物品を村の中に置いている可能性は限りなく低い。隠蔽、もしくは封印されていると考えるのが妥当だ。
御三家の当主であれば何かを知っていたかもしれないが、香住須美子があの状態である上、祭儀が間近に迫っている事から、これから捜索するのはほぼ不可能だろう。
やはり、「白と紫の魔法陣」に関連する物は見つからない。あなたは帰途に就いた。