#4 津島 幸乃
(アクション)
1.蒼戸空也を呼び出す
「『ゐをどノ書 暗ノ巻』っていうのを読んだわ。書いてある内容は現実離れした物だったけど、今はもう信じるしかないのでしょうね。それでも私は、何とか犠牲を出さずに済ましたいと思っているわ。何をしたらいいのかは良く分からないけど、記述されてた四神の護符っていうのは役に立ちそうだと思うの。だから、その在処を教えて欲しいの。ひょっとして、神社であなたが祁堂さんから受け取っていたのもそれなの?」
減らす能力値は「探索」。
2.祁堂家を訪ねる
礼一と会って、蒼戸空也との関係、神社で何を渡していたのか、2人で何を企んでいるのか、蒼戸空也とは何者なのかを聞きます。もし、とぼけるようなら、芦鷹の叔父なり、神事に携わっている人々なりに伝えると脅してみましょう。無論、話してくれれば、そういう無茶はしないとも伝えます。
3.神社に行く
どういった準備がなされているか、直前の動向を観察します。もし、叔父が居て、近づくことが可能なら、どうして人が死ぬと分かっていて、こんなことを続けなければならないのか尋ねます。
(リアクション)
【蒼戸空也を呼び出す】
蒼戸空也が指定してきたのは、村の東にある林道だった。目印となる7個並んだ道祖神の石仏の前で空也が姿を現すのを待つ。
待つこと数分、ガサガサと繁みを掻き分けるようにして黒スーツ姿の空也が現れる。肩に乗った木の葉や小枝を払い除けながら辺りを見回し、フンと小さく鼻を鳴らした。
「・・・ちゃんと一人で来たようだな」
あの上目遣いの嫌な目つきであなたを見つめて、ニヤリと笑う。
あなたは『ゐをどノ書 暗ノ巻』から得た知識を話し、四神の護符の在処を空也に尋ねる。『ゐをどノ書 暗ノ巻』の名前が出た所で空也の肩がピクリと動いたが、それも一瞬で、再び煙草を深々と吸い込み、そして煙を吐き出した。
「『暗ノ巻』から四神の護符にたどり着くとはね・・・。巧美嬢ちゃんから仕入れたのか、それとももっと強引な手を使ったのかは知らないが」
Peaceの紫煙をくゆらせ、独り言のように空也は呟く。霧散していく煙草の煙を見ながら、空也はしばらく黙り込んだ。彼の頭の中で何が考察されているのかは知る由もない。あなたは辛抱強く言葉を待った。
「これは推測に過ぎないが―――」
ようやく空也の口から声が紡ぎ出される。
「四神の護符は厨子夜婚の儀が執り行われる25年毎に、神社の御神体・厨子の中から取り出される。儀式の性質からして、護符の一枚は宮司・芦鷹真輔が所持している可能性が高い。残りの三枚の内、二枚は厨子の中に残されていたはずだ。そいつを狙って神社に盗みに入った連中がいるらしいが・・・成否に興味はないな。そして最後の一枚は―――」
そう言って、空也は左胸の内ポケットから和紙に包まれた封筒のようなものを取り出す。それをヒラヒラとさせてニタリと笑いを浮かべた。
「描かれた図柄から見て、これが白虎の護符らしいな」
空也は護符をポケットに戻すと、大事そうに左胸をトントンと叩いて見せた。コイツの出所は口を割れないな、と付け加えながら。
「おそらく、既に四枚の護符それぞれに所有者がいるはずだ。護符の霊験を知る者なら、手放すことはないだろう。それでも手に入れたければ・・・」
空也は右手の人差し指を頚動脈のあたりに当て、それをスーッと斜め下に滑らした。その覚悟があるならな、と言って笑いながら。
短くなったPeaceを石仏に押し当てて揉み消すと、空也は言葉を終えた。呆然と立つあなたを一瞥することもなく踵を返すと、空也は再び森の中へと分け入って姿を消す。
(※【探索】を1ポイント減らしておいてください)
【祁堂家を訪ねる】
厨子夜婚の儀が迫った祁堂邸は準備で人の出入りが激しい。使用人に祁堂礼一への面会を求めると、禊を終えた新郎には会わせたくない旨で断られかけたが、丁度通りかかった礼一本人の希望により、面会は実現する事となった。
今夜はよろしくお願いします、という切り出しで礼一は世間話を始めようとしたが、尋常でないあなたの雰囲気を悟ってか、すぐに口を噤んだ。それを合図と見て、あなたは携えてきた質問、蒼戸空也とを礼一との関係を問いただす。
空也の素性については、礼一もほとんど知らないという。空也は自分の事を話さなかったし、礼一自身、空也と知り合ったのは数日前であり、祭儀の準備もあったので、彼の素性について深く追求する事はしなかったらしい。
礼一は空也を取引相手だと語った。空也の目指しているゴールと、礼一の目指すゴールは違う。しかし、それに至る過程に共通点を見出した二人は取引(礼一は、敢えて“協力”とは言わなかった)する事にしたのだという。二人が目指すそれぞれのゴールについては、礼一は明言を避けた。
二人で何を企んでいるのか、と問い詰めると、礼一は唇を噛んで俯いた。
前述の言葉を信じるとすれば、空也と礼一の「目的」にはズレがあるらしい。しかし、「手段」に関して、何らかの決定的な切り札を持っているのが空也、持っていないのが礼一なのだ。だから何らかの代替物と引き換えに、二人は「取引」をした。そしてその代替物は―――。
神社で空也に渡していた物についての答えは、お守りです、というものだった。それは四神の護符ではないのか? というあなたの問いに、礼一は肯定も否定も返さなかった。しかし、礼一の言った「取引」が行われたとすれば、空也には相応の代替物が礼一から渡った事になる。それが四神の護符であれば―――対価として空也が払うものとは、一体何なのか?
おそらく礼一は全てを話してはいない。あなたは隠している事を話さなければ、芦鷹の叔父なり、神事に携わっている人々なりに伝える、と礼一に迫る。礼一は少し驚いた顔をしたが、構いません、と毅然と応じた。そして以下の言葉を加える。
「僕は祁堂家と交わした“厨子村で祁堂家が決めた許婚と結婚する”約束を違えるつもりはありませんから」
そして最後に、あなたにやんわりと釘を刺す。
「失礼ですが・・・あなたと芦鷹家が絶縁したとの連絡を受けています。期待の出来ない血縁の後ろ盾を振りかざすのは、如何なものかと」
しばらくすると使用人が姿を現し、御召物の用意が出来たので準備願いたい、と礼一に声をかける。礼一は頷き、あなたにはゆっくりしていくようにと言い残して、去っていく。
あなたは祁堂邸を後にする。
(※ロールに1回成功しています)
【厨子神社に行く】
厨子夜婚の儀を数時間後に控え、準備万端整った境内は幽玄な雰囲気を漂わせて静まり返っている。まだ火の焚かれていない篝火台は、まるで息を潜めて並ぶ黒衣の神官のようだ。注連縄や紙垂、幕によって厳かに飾り立てられた本殿では、宮司・芦鷹真輔が準備に漏れがないか最終点検をしている。本来鈴が取り付けられる場所に吊るされた「鐘」が、粛々とした境内の中で一際異彩を放ち、その存在を主張している。
墨染めの神官衣を身につけた神妙な顔つきの真輔が、手伝いの村人たちに指示を出して、最後の準備を進めている。本殿の内部に組み上げられた祭壇の中央には御神体の厨子が安置されており、祭儀の開始を今や遅しと待っている。
真輔に話しかけられる雰囲気ではない。また、待ち合わせたはずの朝倉圭も、携帯電話に来たメール通り、現れなかった。
あなたは神社を後にした。