1995年北海道

 この年からやっと旅行らしくなる。今までは車中泊2回の3日間だったのが、今回は車中泊2回を含む5泊6日の旅にグレードアップ!

 自由気ままな一人旅、飛行機では旅情を味わうことができないということで夜行列車を利用するのだが、今回は寝台特急「日本海」でまずは函館へ。

 函館駅から函館山へ向かって歩いていく途中には赤レンガ倉庫群があり、お洒落なお店に改装されているなど散策するにはもってこい。こういう所は1人より2人の方がより楽しめるんだろうなぁと思いながらロープウェイ乗り場へ。函館山山頂からの眺めは素晴らしかったが、あいにくの曇り空のため早々に下山。次の機会にはぜひ夜景を見に来たいと心に決め、本日の宿泊地小樽へ向かう。

 3日目は「C62ニセコ」を撮影。いざという時にフィルムがなくなったり、待ち時間にファーム富田へ行く時の注意事項を教えてもらったりと、今でも印象に残っている。

 4日目は旭川から富良野までのドライブ。
 まず最初に訪れたのは神居古潭。美しい渓谷で、紅葉の季節になればもっと素晴らしい景色であることは容易に想像がつく。この渓谷美以上に思い出に残っているのが売店のおばさん。平日の午前中ということもあって観光客は自分一人。しばらく会話をし、もうそろそろ富良野へ移動しようかという時に「食べて行きな」と焼きたてのとうもろこしを頂いたのだが、この時の美味しさは格別で心の温かさまでもが感じられるような気がした。

 富良野までの道程も見所いっぱいで、自由に散策できるラベンダー畑があったり、深山峠には展望台とトリックアートの美術館があったりと飽きる事がない。この後ファーム富田へ足を運ぶと、さすがに有名観光地だけあって広大な敷地に多くの種類の花が咲き乱れていた。

 5日目、6日目は移動のみで、まずは富良野から札幌へ移動。
 そして、札幌駅で待ち構えているのは日本版オリエント急行とも言われる「トワイライトエクスプレス」。札幌14時発で大阪には翌日の13時頃到着。今回は途中の京都までの乗車だが、それでも22時間の列車の旅である。この列車の最大のウリである日本海に沈む夕日を見ながらのディナーを楽しむ事はできないが、"ゆとり"という贅沢は充分に感じる事ができ「また乗りたい」という気持ちにさせてくれる素晴らしい列車だと思う。


 11月にはこの年2度目の渡道をしている。11月3日文化の日。鉄道文化財として社会にアピールする意味を込めて選ばれた「C62ニセコ」最終運行日である。「はまなす」の指定席が取れずデッキで一夜を過ごしたり、冷たい雨が降り注ぐ中での撮影だったりと、体力的には非常にきつかったが忘れられない1日であった。
 広告宣伝の手段ではない本物のメセナが定着し、「C62ニセコ」が本線に復帰する日が早く訪れることを切に願う。