『ボーイズラヴ豆知識』

 

 あらゆる事象と同様に、内側からの定義づけは多種多様なれど、
 その内実を知らない方たちから見た場合においては、
 『主として女性を読者対象として展開される、男同士の恋愛ものフィクション』であります。
 特徴としては、恋愛の関係性表現において、
 性愛が描写されることが多いジャンルであることです。
 同様のものを「やおい」と称することもありますが、
 「やおい」という言葉は、
 もともとの語源が「やまなし、おちなし、いみなし」から派生したものらしいため、
 その言葉でくくられることを嫌う人も多いです。
 なぜそのようなものを好きか。嗜好するか。
 それに関する評論本もあり、いろいろな意見もありますが、
 嗜好性についての説明はたいていにおいてその当人による個人史で説明されるため、
 ボーイズ好きの内面すべてを総括して定義づけるのは困難であるようです。
 「SFとはなにか、なぜSFというフィクションが好きか」
 あるいは、
 「家族とはなにか、家族制度になにを求めるのか」
 それらの定義づけが、嗜好性の説明が、個々人によってイメージが異なり、
 かなりの割合で自分史にならざるを得ないように、
 ボーイズラヴというもの、そしてそれを嗜好するに至った理由づけは
 個々人によってさまざまなものであるようです。

 

 蛇足。
 私の場合はボーイズの『小さな恋のメロディ』(映画)的シチュエーション、
 手に手をとって逃避行、あるいは世界という大きなものに反逆する、
 というパターンに強く惹かれます。で、ハッピーエンドじゃなきゃ、やなのだ。
 フィクションなんだから、小さな運命共同体が、世間という大きなものに
 抵抗して打ち勝つ、してやったりな爽快感を得たいじゃないですか。
 男同士でなくても、男女ものでも、女同士でもこのパターンのものは好きです。
 ただ男女ものの場合、現代恋愛ものだとよほど特殊な設定にしないと、
 別に逃避行しなくてもすんでしまうし、心中しちゃうもの多いし、
 女同士ものはまだ供給が少ない…。残念なり。
 私は女同士もの好きなんだけどな〜。

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