■鉄（Fe）■ Iron
◆概要◆
鉄が不足すると貧血を起こすことは皆さんよくご存じの通りです。
健康な人なら、体内の鉄の約30％は肝臓に蓄えられています。食事
から摂る鉄分が不足するとこの貯蔵分が少しずつ使われますから、
この間は鉄欠乏貧血は現れません。しかし、貯蔵分が底をつくとい
よいよ影響が出始めることになります。
鉄欠乏の貧血ばかりに目が向かいがちですが、特に子供たちに見ら
れる、集中力がない、すぐイライラする、暴れるといった現象は鉄
欠乏が影響しているといわれています。鉄欠乏が脳波を乱すことは
すでに臨床試験で認められています。
食事からの鉄摂取が減少していることに加え、加工食品や清涼飲料
水などに使われるリン酸と鉄と結びついて吸収されにくい形になり
ますます鉄不足になっています。
◆ヘム鉄と非ヘム鉄◆
鉄は大きくヘム鉄と非ヘム鉄に分けられます。ヘム鉄は肉や魚など
の動物性食品、非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれています。ヘム
鉄の方が吸収が良いので、鉄サプリメントはヘム鉄として含まれて
いるものを選んで下さい。ベジタリアンや宗教上の理由で動物性の
ものがだめな場合は非ヘム鉄を選ぶと良いでしょう。
◆一日の摂取量◆（日本人の食事摂取基準2015年版）
| 鉄（Ｆｅ） （ｍｇ／日） ＊１ |
| | 男性 | 女性 |
|---|
| 年齢 |
推定平均
必要量 |
推奨量 |
目安量 |
耐容
上限量 |
月経なし |
月経あり |
目安量
|
耐容
上限量 |
|---|
推定平均
必要量 |
推奨量
|
推定平均
必要量 |
推奨量 |
|---|
| 0〜5(月) |
- | - |
0.5 | - |
- | - |
- | - |
0.5 | - |
|---|
| 6〜11(月) |
3.5 | 5.0 |
- | - |
3.5 | 4.5 |
- | - |
- | - |
|---|
| 1〜2(歳) |
3.0 | 4.5 |
- | 25 |
3.0 | 4.5 |
- | - |
- | 20 |
|---|
| 3〜5(歳) |
4.0 | 5.5 |
- | 25 |
3.5 | 5.0 |
- | - |
- | 25 |
|---|
| 6〜7(歳) |
4.5 | 6.5 |
- | 30 |
4.5 | 6.5 |
- | - |
- | 30 |
|---|
| 8〜9(歳) |
6.0 | 8.0 |
- | 35 |
6.0 | 8.5 |
- | - |
- | 35 |
|---|
| 10〜11(歳) |
7.0 | 10.0 |
- | 35 |
7.0 | 10.0 |
10.0 | 14.0 |
- | 35 |
|---|
| 12〜14(歳) |
8.5 | 11.5 |
- | 50 |
7.0 | 10.0 |
10.0 | 14.0 |
- | 50 |
|---|
| 15〜17(歳) |
8.0 | 9.5 |
- | 50 |
5.5 | 7.0 |
8.5 | 10.5 |
| 40 |
|---|
| 18〜29(歳) |
6.0 | 7.0 |
- | 50 |
5.0 | 6.0 |
8.5 | 10.5 |
- | 40 |
|---|
| 30〜49(歳) |
6.5 | 7.5 |
- | 55 |
5.5 | 6.5 |
9.0 | 10.5 |
- | 40 |
|---|
| 50〜69(歳) |
6.0 | 7.5 |
- | 50 |
5.5 | 6.5 |
9.0 | 10.5 |
- | 40 |
|---|
| 70以上(歳) |
6.0 | 7.0 |
- | 50 |
5.0 | 6.0 |
- | - |
- | 40 |
|---|
| 妊婦(付加量) |
| |
| |
| |
| |
| |
|---|
| 初期 |
| |
| |
+2.0 | +2.5 |
- | - |
- | - |
| 中期・後期 |
| |
| |
+12.5 | +15.0 |
- | - |
- | - |
| 授乳婦(付加量) |
| |
| |
+2.0 | +2.5 |
- | - |
- | - |
|---|
*1.過多月経(月経出血量が80mL/回以上)の人を除外して策定。
◆主な働き◆
・血液の質を改善
・赤血球を形成
・ストレスに強くなる
・感染症を防ぐ
・粘膜を丈夫にする
・結合組織を強化
・酵素を作る
・免疫力を高める
・ヘモグロビンを作る
・病気への抵抗力増加
・成長促進
・ビタミンＢ群の代謝促進
・酸素の循環をよくする
・脳細胞の活性化
・エネルギーを産生
◆欠乏すると◆
・鉄欠乏性貧血 ・忘れっぽい
・むくみ ・発育不全
・朝起きにくい ・軟骨の変形
・湿疹 ・活力不足
・粘膜が乾く ・顔色が悪い
・めまい ・肩がこる
・注意力の低下 ・免疫力の低下
・息切れ ・皮膚が青白い
・疲れやすい ・縦じわ
・冷え、寒がる ・たちくらみ
・動悸 ・性欲低下
・歯ぐきの出血 ・結合組織の弱化
・目が青みがかる ・抜け毛、切れ毛
・アザができやすい ・カゼをひきやすい
・食欲不振 ・爪が変形
・神経過敏 ・歩行障害
・頭痛、頭重 ・耳鳴り
・のど、鼻づまり ・吐き気
・ヘルペス ・イライラ
・下痢 ・口角炎、口内炎、口唇炎
◆気をつけたいこと◆
・清涼飲料水、加工食品を多く取る場合は鉄が減少する
・コーヒー、紅茶を多く飲む人は鉄の吸収が妨げられる
・妊娠中の鉄サプリメントの摂取は医師に相談する
・風邪のときは鉄分がウイルスの栄養になるので控える
◆多く含まれる食品◆
・豚肉
・牛肉
・豚や鶏のレバー
・はまぐり、あさり、しじみ
・乾燥ひじき
・卵黄
・かき
・ナッツ類
・豆類
・アスパラガス
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