ホテルかまくら増改築
(旧小原鎌倉ホテル)

蔵王山麓の「小原温泉」は、開湯800年の歴史を持つ由緒ある温泉郷です。
その中にあって、ホテルかまくらは、創業100年を超える、由緒ある老舗温泉ホテルです。
遠藤新の作品譜を眺めると、数少ない作品の中にあっても、ホテル設計の仕事がいくつか見受けられますが、
帝国ホテルでの彼の業績を考えれば、依頼が多いことは当然のことと思います。
しかし、ここでご紹介するのは、甲子園ホテルのようなライトチックな建築ではなく、
和のテイストを基調としたデザインの建物です。

新はここに、「横笛」「夢の浮橋」「早蕨(さわらび)」など計5つの客室の増築をおこなっております。
旧館には、ライト風の暖炉や噴水の設置等がみられますが、これらはおそらく、
後年になってからの遠藤楽氏の仕事ではないかと推測されます。
(オーナーの話では、詳細はわからないとの事でした。)
部屋のつくりは、和室2部屋と洋室1部屋を備えた大型タイプや、
新が発案したといわれている、「和室の奥にある板の間の広縁に応接セット」という
今や旅館の定番スタイルとなっているコンパクトなタイプなど、
各室ともつくりが異なっているのが面白いところです。
また、一階の2部屋には個室風呂がついていて、24時間温泉が楽しむ事ができます。

Data
所在地:宮城県白石市小原温泉
構造:木造2階
施工者:
建築年代:昭和25年


新が手掛けた増築部分。新らしい特徴が随所にみられます。
 

  

ホテル全景(左奥が増築部分)



「夢の浮橋」地下への個室風呂へ続
く階段。摩訶不思議な空間です。 

「夢の浮橋」には4畳の洋室つき。

「花宴」個室風呂の浴槽
  



旧館に設置されたライト風の暖炉(上)と噴水(右)



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