自由学園明日館

自由学園明日館の竣工はライトの帰国後であり、山邑邸と同じく、
最後まで立ち会った遠藤新の功績は大きく、実質上の共同設計者といえます。
事実、当初は「遠藤の設計にすべき」と言っていたライトの強い勧めにより、
遠藤は震える手で、ライトと共に図面に署名をしたとのことです。

建物は高さを極力抑えたプレイリースタイルを踏襲しています。
そのため、屋根裏を作らず、広々とした天井高を確保するとともに、
地面と床面を同じレベルとして、そこから壁を直接立ち上げる2×4工法をとりました。
しかし床下を作らないのは、アメリカと違って湿度の高い日本には適わない方法であり、
保存修復のための調査では、建物の劣化は予想以上のものだったと聞いております。
ところが、遠藤が設計した部分はこのような問題点はクリアされており、
さすがのライトも、日本の土地を知る遠藤との差が明るみに出る結果となりました。



いつの時代になっても「近未来的」な造形。ライト初期の住宅作品に多くみられる
「プレイリーハウス」の流れを汲んだ、横へ平たく伸びていくフォルムが美しい。

陰と陽のコントラストの美しもライト建築の魅力のひとつ。

この奇怪な照明は、高い天井にこだわった、ライトのアイディア。

中央棟玄関上部にあるトップライト。

食堂内にある大谷石製の暖炉。意外とあっさりしている。

建物に合わせて設計された椅子。遠藤の作品(左)。




戻る