ミッシング「ペパーミントの魔術師」

- 汝は魔術師、運命の失敗作よ -

君は何かを取り逃が゙してしまった事はあるかな?
とてもとても大切なことだったのに、つまらない意地を張ったり、
目の前の事ばかりに気をとられて見逃してしまった事はないかい?

....これはそうならざるを得なかった魔術師の話だ。
彼は天才で、成功者で、そして失敗者だ。
この魔術師が辿る一途で愚かで、そして寂しく陽気なこれはアイスクリームの 物語。
冷たく鮮烈な甘さは一瞬の、
そう、このぼくブギーポップですら 見逃してしまうほど速く、
あっという間に溶けて無くなって行く一時の慰み---

道化師と死神と夢破れた人々が織りなす、無邪気で残酷な哀しい御伽噺。

ストーリーキャラクター
ACT.1 軌川十助 軌川典助 寺月恭一郎
ACT.2 楠木玲 古北園子 間宮和夫
ACT.3 スクイーズ(蝉ヶ澤卓) スプーキーE
キャプテンウォーカー(景山)
野々村春人 宮下藤花 竹田啓二
飛鳥井仁 霧間凪 ブギーポップ

Outline

ACT.1 - the tender -
軌川十助は緑の肌だった為に、人目を避けて一人洋館でアイスクリームを作っていた。
「人の痛み」を感じてアイスを作るという彼は、寺月恭一郎と出会った事から、 表の世界に出ていく事になる。.....寺月の真意が何なのかも知らずに。

若くして天才といわれる料理家・楠木玲を中心にスタッフが集められ、 十助のアイスは売り出される事になる。 ピエロの服装をした十助、お化け屋敷をイメージした店舗と風変わりだが、 次第に口コミでその評判は広がっていった.....

TVの取材時に十助と知り合った古北園子は、その後アイスのモニターとして、 彼の元に頻繁に通うようになった。人気のパっとしなかった、彼女の人気が出始めたのはその頃からだった。
そして彼女に異変が現れはじめたのも。 怒りや憎しみといった感情が無くなっていくような.....
 ....もっともそこが人気の出た原因でもあったのだが。

玲は十助の元を去っていった。 必死に止める十助だったが、彼女は....
「あんたの側にいると、私は痛みを忘れていくだけ....」
 そして、マルコ...スプーキE...と出会った十助に運命の時が近づく。

...運命の時、謝恩イベントが開催された。
既に寺月は故人となっており、玲も彼の元を去っていった。
一人控え室で佇む十助の前に、スプーキーEが現れる。
「お前は中枢を騙していた」「用済みだ」「あいつらが動いている」「未来なんて最初から無い」
十助には判らない事を立て続けに告げるスプーキーE、
「お前とお前に関わるもの皆殺しだ、この会場にいる連中もな...」

スクイーズの攻撃から園子を庇った十助の体から流れる血は....蒼かった。
「化け物だ!」「人間じゃない!」逃げ惑う人々を尻目に、この場の「監視者(tender)」景山...キャプテンウォーカー... はその能力で会場の人間を殲滅しようとした瞬間、 マントに帽子を被った死神のような....そして彼の首は一瞬で折られた。

会場の混乱と共に十助は姿を消して、彼の栄光の物語も終っていった。

ACT.2 - the seeker -
ジャーナリスト・野々村春人は休日返上で「お化け」の取材中、 宮下藤花と出会い、アイスの話題から十助について調べる事になる。
十助に関わった様々な人々に話を聞いて歩く最中、偶然園子に出会う。 彼女は芸能界を引退したという、以前から交際していた間宮和夫(春人の後輩でもあった) と結婚して、現在妊娠中だという。
だが肝心の当時の事を園子は殆ど憶えていなかった....

十助がいた洋館の中で、ブギーポップが浮かび上がる。
春人はスプーキーEの「端末」だった。お化け...つまりブギーを調べるように命令されていた 「探求者(seeker)」だった。 だがスプーキーEはすでこの世に無く、ブギーは彼を解放するのだった。
....野々村さんは何かを捜していて、お化けってのはそのとっかかりみたいなものなんだね...
目が覚めた春人は、そんな声を聞いたような気がした、まだ混濁した頭の幻聴か....
彼は自分を再び明瞭としてくれるものを求めて街の中を歩っていった。

ACT.3 - the hopper -
山の中で隠れていた十助は、「心の欠落」を見る事の出来る、飛鳥井仁と出会った。
「痛み」を見る事の出来る十助の能力の巨大さに驚く仁はブギーポップについて彼に告げる。
「覚悟を決めておいた方がいい、十助、君はおそらく世界の敵と見られるぞ」

玲の記憶が操作されている事を知った十助は、洋館でスクイーズと合間見える。
だが、人の痛みを我が物にする事が出来るようになった十助は、 彼の痛みとなり、痛みから目をそらすスクイーズには十助を認識する事が出来なかった。

自分の本当の力に目覚めた十助は、玲にアイスクリームを届ける。
そして彼女は思い出す.....自分がどうしてお菓子を作ってきたのかを....両親の想い出と喜びを、
それは決して出世するとか、生徒に偉そうにするという事では無かった事を.....

「人の痛みをわがものにする、巨大な能力だ、今だかってない世界の危機だといってもいい」
ブギーポップが現れる。
「だが、それに反して、誰よりも自分の痛みを判って欲しいと思ってるのは君だとはな....
 まったく何もかもがまっすぐにいかないものだ...」

「だから必死でアイスクリームを作っていたんだ。違うかい?」

傷つき、忘れられ、死神にも見捨てられ、ペパーミントの魔術師は何処かへ歩いていく。
彼は泣いていた、そして初めて流す涙だった。
彼は今、やっと泣く事が出来たのだった.....

"Peppermint wizard,or Rize and fall of poor innocent puppet" closed.


main character

軌道十助
「魔法だよ、なんてことのない、ね....」
統和機構の人造人間、ノトーリアスI.C.E.(In Complete Error)
失敗作と判断されていたが、人の心の痛みを感じて、アイスクリームを作っていた
だが本当は強大な能力を持っていた、悲しい運命が産んだ、ペパーミントの魔術師..

軌川典助
「お前は他人を幸せにしても、お前だけの幸せという ものは掴めぬのではないか...
そんな気がしてならぬ。」

寺月の知人、統和機構に協力していたようだ
それをキッカケに失敗作であった十助を押しつけられたらしい
本人は十助の事を本気で心配していた...と思う

寺月恭一郎
「君は世界の事をどう思う?」
「歪曲王」でおなじみの、MCEの会長にして統和機構の人造人間
それにしても色々やってた人なんですね....

楠木玲
「私には他の人生なんか考えてもしょうがない。一度死んだも同じなんだから...」
若き天才といわれる料理家で、十助のパートナーとして協力する事になる
過去に起った事故で両親を亡くしており
その為か、彼女がお菓子の味に抱くイメージは「死」なのだが...
最後に十助に救われる事になる

古北園子
「なんか地球をまるごと食べてるみたい、そう思ったんです...」
売れない芸能人「人を傷つけたくない」という部分が地味で鈍くさい部分を作っていたが、
十助のアイスと出会って一転して売れっ子に、だが彼女自信には異変が起ってしまう...
後に、その時に記憶を失ってしまうが、間宮和夫と結婚、妊娠中でもある

間宮和夫
「はい、俺らの子供です」
古北園子とは騒動以前からの付き合いで、後に結婚する
野々村の後輩でもある

スクイーズ(蝉ヶ澤卓)
「...これも任務だ、悪く思うなよ」
衝撃波を飛ばす、戦闘タイプの人造人間
普段はデザイナー・蝉ヶ澤卓を名乗ってオカマ言葉を話す
スクイーズとしての彼の発言から、好んでやっている訳ではないようだ
十助にも「戻ってこずに、逃げてしまえば良かったものを.....」とか言っている

スプーキーE
「俺様と同じようにな....」
Vs.イマジネーターの影でこんな事もやってたようだ
多少弱音?というか本意みたいなものを漏らす辺りもある

影山(キャプテンウォーカー)
「知るか馬鹿、くたばるんだな」
十助の部下に扮していた、殲滅タイプの人造人間
体内で生成した発火性の高い気体を燃焼爆発させる能力を持つ

野々村春人
「よかったらちょっと話を聞かせてもらえないかな」
フリーを目指す雑誌記者で、休日返上でお化けのテーマを取材してる
スプーキーEの端末でもあったが、お化けの事は、元々彼の中にあったテーマのようだ

宮下藤花
「たぶん妬いてるんです、あたし」
ブギーポップの都合なのか、模試をサボって他人といきなり取材活動(笑)
竹田君にあまり構ってもらってないせいか、愚痴が多かった
それとは別の意味でも色々と悩んでるようだ

竹田啓司
「...宮下、お前なんか怒ってないか?」
ちょい役が定着しつつあるが、頑張ってるらしい
鈍い所があるのか、藤花の悩みの部分に気づいてないようだ

飛鳥井仁
「塔から飛び降り損ねたのさ」
改めて登場するとは思わなかったキャラNo.1
これからもお話に絡んできそうですね

霧間凪
「オレは魔女だよ」
皆勤賞を取るためか、ちょい役で出てくる

ブギーポップ
「敵だ、本来なら、な...」
世界の敵を殺す存在たるブギーポップでも、例外はあるらしい

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