宮部みゆきさん #03
『蒲生邸事件』 | 宮部みゆき | 毎日新聞社 | 1996/10 | ♪:☆☆☆★★ | 作品紹介 | 昭和十一年二月二十六日 |
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受験の為に上京した孝史は、影をまとったような不思議な男と出会う。 ホテル火災に巻き込まれ、絶体絶命な所を誰かに救出された彼は、 目が覚めた時にはニ・ニ六事件の真っ只中。 昭和十一年二月二十六日の東京永田町の蒲生邸にいた....。 | 感想 | 昭和初期を体験する現代人 | ||
ミステリ要素もある時間モノで、歴史モノでもあります。私的にはかなりいい話.....
宮部さんらしく、謎解き・その後もきちんと書かれていて、なんといっても読みやすい作品だと思います。 関係ないんですが、ハードカバー、この度発売になった文庫、共に装丁が気に入らないです.... 本当に関係ないですね....。 | 感想(ネタバレ) | 「兵に告ぐ」 | ||
時間旅行者に偶然巻きこまれた孝史や蒲生邸の人々が、
大きな時代の流れの中で葛藤する様や、
未来を知りながらも大きな流れを変える事が出来ないままに、
今を生きていく人々が美しい、心が癒される物語だと思います。 私はこの本を読むまで名前程度で、全くと言っていい程知らなかったのですが、 近代日本史最大事件の一つニ・ニ六事件をテーマにしたのも見逃せない内容だと思います。 | KeyWord:尾崎孝史 | このまま現代に帰るんだから | ||
「あんた、歴史を擬人化しすぎているよ。歴史を作るのは人間じゃないか。」 「あなたたちは死んでしまうのに。」 | KeyWord:平田(本名不明) | 時間旅行者 | ||
「タイム・トリップの能力を持つ者は、いわば、まがいものの神なんだ。」 | KeyWord:葛城医師 | 好々爺とした人物 | ||
「軍が恐いからって、黙っている点では、貴之君だけじゃない、我々だって、大方は同じだ。」 | KeyWord:蒲生貴之 | 蒲生憲之の子息 | ||
「僕は怖い、怖くて叫ぶ事は出来ない。ああ、怖い。身体が震える程に怖いよ。 今そんな事を言い出したらどんな目に遭わされるか、想像するだけで怖いよ。」 「....今は判らない。生き抜いてみるまでには。」 | KeyWord:向田ふき | 優しさと強さ | ||
「今カラデモ遅クナイカラ、原隊ニカエレ....ビラに書いてあったでしょう? 教えてもらいました。あなたは帰らなくちゃね。」 | 備考 | ニ・ニ六事件 | ||
ニ・ニ六事件。 昭和11年2月26日からの四日間に起こった日本史上最大の軍事クーデター。 軍上層部の腐敗と政治に不満を持つ勤皇派の青年将校達が決起、部隊を率いて警視 庁、陸軍相省など麹町・永田町一体を占拠。都心部を掌握するに至り、 政府中枢の重臣を襲撃・暗殺し、新政権発足を要求するが......。 昭和天皇はこれに激怒、軍本部はこれを反乱軍とし、帝都全域に戒厳令が発せられる。 今なら誰もが一笑に伏し、従わない命令かも知れません、武力攻勢すれば成功していたとは思いませんが。 馬鹿げた事かも知れませんが、当時の天皇制とその教育.... 教育次第で人はどのようにも変わってしまって、しまう。 そんなルーチンですよね.......この事件のみならず........ そして、反乱軍扱いとなったクーデター部隊には最後通告が発せられる。 「一、今からでも遅くない原隊に帰れ ニ、抵抗すれば逆賊として射殺する 三、お前達の家族は国賊となるので泣いている」 これによりクーデター部隊は事実上瓦解し将校達には死刑が宣告される。 これ以後、軍部の発言権は大幅に増していき、軍部の協力無しに内閣が組織できなく なる。 後に日本を太平洋戦争に導くきっかけとなった事件の一つとも目される。 |
『』 | 宮部みゆき | 社 | / | ♪: | 作品紹介 |
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感想 | ||||
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