『すべてがFになる』 | 森博嗣 | 講談社 | 1996/4 | ♪:☆☆☆★ | 作品紹介 | THE PERFECT INSIDER |
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幼くして天才工学博士として名を馳せた真賀田四季は、
14歳の時に両親を殺害した罪に問われ孤島の研究施設に閉じこもっていた。 彼女の元を訪れた犀川創平と西之園萌絵はウェディングドレスを身にまとった 真賀田博士の死体に出会う。.....モニタには「すべてがFになる」....謎のメッセージが残っていた。 | 感想(ちょっとネタばれ) | 理系ミステリ | ||
トリックなどの部分よりも記憶や生命に関する理系的(?)な考えかたや、世界観が楽しめました。
コンピューター用語や概念が絡んでくる物語なのですが、
幸いこの程度ならばなんとなく読みすすめるのには支障は無いと思います。
とはいえ、全く説明がないので困る人には困るのでしょうが.....。 Fの意味に関しては、結構初期からわかっていたのですが、 16進数をわからない人が読むとどうなのかなぁ.....私もよくわかりませんが(汗) ある程度読者層を選んでいるような感じがしますが、書いてあることは深く楽しめました。 | KeyWord:犀川創平 | N大学工学部助教授 | ||
「自然を見て美しいなと思うこと自体が、不自然なんだよね。汚れた生活をしてる証拠だ。 窓のないところで、自然を遮断して生きていけるというのは、 それだけ、自分の中に美しいものがあるということだろう? つまらない仕事や汚れた生活をしているから、 自然、自然ってご褒美みたいなものが欲しくなるのさ」 「思いでは全部記憶してるけどね、記憶は全部は思い出せないんだ」 | KeyWord:真賀田四季 | 天才プログラマー | ||
「新しい種のために花は枯れる。新しい卵のために母体は死んでいくのよ...。 これは悲しいことではありません」 「そもそも、生きていることの方が異常なんです」 |
『冷たい密室と博士たち』 | 森博嗣 | 講談社 | 1996/7 | ♪:☆☆☆ | 作品紹介 | DOCTORS IN ISOLATED ROOM |
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低温度実験室を尋ねた犀川と西之園の前で再び起こる殺人事件。 誰も容疑者がいない、誰もが容疑者でもある。 冷たい密室の中で起きた事件の真相は? | 感想 | 困ったことに | ||
話し自体は前作よりもミステリらしい展開。推理も可能だと思います、が..... ちょと私、この作品はかなり予備知識をもって読んだために、 正確な意味での感想はかけません。 ところで、この犀川と萌絵のコンビって、なんだか妙ですね.......色んな意味で。 読み進めていくうちに疑問も氷解するのかな? 作品の感想ではないのですが、森博嗣さんの本業は某国立大学の助教授だそうです。 で、副業として作家を.....副業にしてはもの凄いハイペースで作品を発表。 しかも内容もしっかりして濃く評判もいい。凄いですね。 数年に一回しか作品を出さない作家もいるというのに(苦笑) | KeyWord:犀川創平 | 表題から | ||
「面白ければ良いんだ。面白ければ、無駄使いではない。子供の砂遊びと同じだよ。 面白くなかったら誰が研究なんてするもんか」 |
『笑わない数学者』 | 森博嗣 | 講談社 | 1996/9 | ♪:☆☆☆★★★ | 作品紹介 | MATHEMATICAL GOODBYE |
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伝説的数学者・天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」で行なわれるクリスマス・パーティーに
招待された犀川と西之園。 ・・・12年前のクリスマスの夜、博士は庭に立つ巨大なオリオン像を魔法のように消してしまっ たという。 そして再び博士がオリオン像を消しさった。驚愕する人々に博士は語りかける.... 「あらゆる課題は、現実と理想、あるいは事実と理論の間のギャップにある。 それを自覚することだ。しかし、現実や事実は常に真実とはいえない。 それは、あくまでも、お前たちの目が観察したものなのだ。 お前たちの頭が認識したものだ。それを自問するのだ.....」 ......そして再びオリオン像が現れた時、館には二つの悲劇がふりかかっていた! | 感想 | あまり感想とはいえないな・・・日本語も変だ。 | ||
最近の夜の友・森博嗣さんの小説読みもやっと三作目。地道にやってます。 ここまで読んできてまず思ったことは、 やっと森博嗣さんの作品になれてきた感じがします。 癖、ありますからね。...... 『すべてがF』『冷たい』もあとでよみかえせば違う印象かもしれない。 何時になるかはわからないのですが、全部読んだ後でもう一度触れてみよう。 ミステリを読むくせに推理能力が低い私は、 トリックなんかはあまり気にならないのですよね。 そりゃ勿論「凄い!」と思うものもありますが、 些末な部分であーだこーだいう謎とかは苦手です。よって時刻表ネタものとかは駄目(笑) 今時あまり無いけど。 どちらかと言えば、心理や人間関係なんかを楽しむかたちで読む場合が多いのですが、 森博嗣さんの作品の場合は、森さんが語る数学的な世界観(というのかな)を 楽しみにするようになってきました。ここまで読んで。 時々出される数学の問題なども....解けません、解けるわけもないですが、楽しみに。 「数学」など綺麗さっぱり忘れている、ついでにいえば「算数」も妖しいものです。 せいぜいレジでお釣りを払う時以外に計算などしない私でも楽しめるってのは凄いですね。 .....とはいえ、すぐギブアップしましたが。 こういった問題、作品中の萌絵たちのようにすぐ解ける人っているんですか、ね....? ミステリとしてみれば、陳腐なトリックです。何せ私が 「.....これしかないよな...」と思ったのがそのままそのとおりなトリックですから(笑) この作品の真価は、それ以外の部分にあります。 物語は勿論、なんって言えばいいのか.....不定だ.......読んでみればわかる。 各章の始めに短文ですが、意味深げなメッセージがあるのですが『すべてがF』 『冷たい』には無かったですよね、次の『詩的私的』にも無い。......まあ、天王寺先生の お言葉ってことであまり気にしてもしょうがないか。 | 感想(少しネタバレ) | 犀川先生について | ||
独特な個性の為か計算能力に圧倒されたのか、今まであまり犀川に感情移入できませんでしたが、
慣れもあるのでしょうが犀川の内面もなんとなくわかってきて、
自然に読めるようになってきました。心の中でツッコミはいれていますが....。 犀川がサンドイッチの件で萌絵の友人に詰問されている(これを詰問というのかな) 場面は、犀川が心の中でツッコンでいる事が、そのまま自分のツッコミと重なってしまい ヒドクおかしかったものです。 PS:この作品のラスト、凄く好きです。謎は謎のままでもいい。 | KeyWord:犀川創平 | あのサンドイッチが、物語を導くとは・・・ | ||
「まずい料理を食べることが愛情かな? どんなに出来が悪くても優をくれる先生が尊敬できる先生かな? もし知らない人が作った料理なら、少しはまずくたって我慢するかもしれないね。 でも、西之園君がもしもだよ... まずい料理を作ったなら、我慢できないね、僕は。それが、人を尊敬するってことだ」 人類史上最大のトリック・・・・? 「それは人々に神がいると信じさせたことだ」 | KeyWord:天王寺翔蔵 | 俊一に同情します。 | ||
「鶯の美しい声に、何の意味があろう? 森へ行ってきいてみるがよい。何のためにお前達は鳴くのかと、何の役に立つのか、とな。 美は、それを尋ねる者には、役に立たぬものなのだ」 |
『詩的私的ジャック』 | 森博嗣 | 講談社 | 1997/1 | ♪:☆☆☆ | 作品紹介 | JACK THE POETICAL PRIVATE |
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那古野市内の大学私設内、密室で女子大生が立て続けに殺害された。
被害者の肌に残された謎の傷痕。 捜査線上にあがった人物は、犀川が担任する学生・結城稔。 ロック歌手として成功し、大学を去ろうとする彼の唄と事件との奇妙な類似性。 犀川はあまり興味がないようだが、萌絵は当然ながら事件に首をつっこんでいく.....。 | 感想 | じゃっくざりぱー | ||
さてさて森博嗣さんの作品ももう四作目、頭の中もフォーマットされて、
そろそろ本気でいくよー!とでもいった感じでしょうか。・・・といっても寝転んで読んでるので、
たまにそのまま寝たりするダラケぶりです。 で、ちゃんと感想をば......まず、推理っぽく。 トリック的には普通かな?特に無理も感じないですし。ちょっと動機に納得のいかないものがありますが、 これは作品の持つ味と、私の好みの味の違いでしょう。 物語としては、多少平坦な・・・淡々と進むのですが、 今まで犀川とべったりだった 萌絵の学園生活なんかも描かれていて「コイツ学生だったのか」と改めて認識できます(笑) 先輩をアシに使ったりと、犀川以外に対しては、ほぼ無敵状態のようです。諏訪野はあまり出てこないし。 叔父さんはしょせん姪には勝てまいよ(謎) 前作『笑わない』で犀川に好感を持ったのですが、今作の犀川 はなんだか冷たい部分が多いような.....まあ気分なんて時と場合で変わりますからね。 萌絵が暴れすぎなので対比でそう感じるだけかも知れない。 | KeyWord:犀川創平 | 悩む犀川先生 | ||
「どうして逃げないのだろう。生きるということは、そんなに不自由なことなのだろうか? 何故、逃げなかった?いや、逃げるか、逃げないかも、やはりジャッジの対象なのだ。 問題は同じだ。世間体を気にしない、まったくの自由人は、 それが自分のライフスタイルだと思い込むことで、自分の体裁を気にしている。 格好をつけるのが嫌いだ、という人間は、格好をつけないことが、 格好の良いことだと思っていて、つまり格好をつけている。問題は同じだ。 他人に干渉するな、と要求することは、そういって他人に干渉している。 自分が特別だと思っている、それ自体が特別ではない。 意識とは不自由なものだ。 こうして自分のアイデンティは、素直な思考によって不可逆的に軟弱になっていく。 最も効果的な防御方法とは考えないことだ。 まるで座禅みたいではないか..。いや、きっとその通りなのだろう。 どうして、もっと強くなれないのだろうか、人間は.....」 |