井上夢人さん
『オルファクトグラム』 井上夢人 毎日新聞社 2000/1 ♪:☆☆☆
作品紹介 匂いの世界
連続殺人事件に巻き込まれ、瀕死の重傷を負った片桐稔。
意識不明の状態から目覚めた彼は、以前の嗅覚を失ったかわりに新しい能力を得ていた。
一般人の数百万倍から数億倍にもなった嗅覚を、視覚イメージとして認識できるようになった彼は、 その能力を使い、姉を殺した連続殺人犯を追う。
感想 稔の見る世界
目をつむっていれば、何も見えませんが、明るいか暗いかくらいはわかります。 人間の嗅覚ってのは視覚で例えればそんな曖昧なもので、 発達した嗅覚から送られる情報をを視覚野で処理するってのは、なんとなく納得です。
そうして犬以上の嗅覚を持つようになった稔の見る"匂いの世界"。 最初は戸惑いましたが、細かく丁寧に書かれているので後半は自然に理解... ではないのでしょうが、わかるような感じすらしました。

稔の能力に対する、マスコミ・警察・科学者の対応なども興味深く読ませていただきました。
KeyWord:片桐徹 幼い頃に死別した、稔の双子の兄
「ミノル、きれいだね。風。 見えるだろ、ミノルも。」
KeyWord:片桐稔&松代デレクター 被害者とマスコミ
「やっぱりちゃんと信じてもらえるような格好にしてからのほうが、いいと思うよ」
「信じてもらえるか、そうでないかよりも、報せることのほうが先決だとぼくは思うんですけど」
「うん。その気持ちはよくわかるけどね」
「いえ、わかっていただけてないと思います。四人殺されているんです」
「・・・・」

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