滝本竜彦さん
『NHKへようこそ!』 滝本竜彦 角川書店 2001/1 ♪:☆☆☆★
概要 Nihon.Hikikomori.Kyoukai.
俺は気づいてしまった。悪の組織NHKの存在を。
俺が大学を中退したのも、無職なのも、すべてがNHKの陰謀なのだということを。
悪の組織を倒すその日まで、俺は雄々しく戦い抜く。

だが、そんな俺の目の前に、とある宗教団体から刺客が送られてきた。
日傘をさした清楚な美少女、岬ちゃん。彼女はいったい何者か?
エロスとバイオレンスとドラッグに汚染された俺達の未来を救うのは愛か勇気か、それとも友情か?
驚愕のノンストップひきこもりアクション小説!
〜巻頭より、そのまま抜粋
感想 漫画喫茶はいい
NETで紹介され、スパロボだのシゴト(風)だの単に眠いだの昨日の酒が抜けないだのと、 常に光輝くようなやる気のなさを誇りとする自分が、安倍さんの絵が美しいので、手にとった。

ある意味でいえば、バカ本のたぐいだという評価は免れないけども、 古今東西・・・つまり古今とは概ね最近の事と美化と俺好みに染め脚色した もっと前のことであって、東西とは自宅と会社とその沿線のことで定期にするとその料金は秘密な程度の古今東西でいえば、 バカ本とは誉め言葉ではないけども、もしょうではない。

余談だが「糞ゲー」という言葉は誉め言葉の一種らしいが「糞本」は誉め言葉ではない。
糞にまみれた本とは、某作品のうんこ事件を見るようにある種の人々にとっては恐怖の対象である。 ヤギが紙くってメーではないけども、人間も文庫1冊位ならば食えないこともないように、 本を胃で消化してみてもでるのは結局うんこであって、 食って出る何かではなく、消化したカロリーで何をしたかがメインだろーとかいう事実を改めて考えさせる。

・・・で、この物語がどんな話かというと、概要のようなおはなしです。私は共感持てます。
少なくとも、「こんなのバカじゃー」「暗い駄目人間」「社会不適応」という言葉で一括されることはないお話なのは断言です。
じゃあこの作品が持つだろうキーワードなんつーものを並べてみると 「ひきこもり」「フトン」「美少女」「エロゲー」「妄想」「ドラッグ」「バイオレンス」「ロマン」 ・・・後半はなんか違うけども、そんな感じかも。変に残る話ですよ。 NETで人様のHPなんざ見てる暇人ならば必読といえるかも知れないし。

「人」それ自体が、自分以外はみんなファンタジーみたいな存在だと想うのです(不明)
率直にいって、自分はエロゲーに一時期凝っていたし、 世間的にロ(略)といわれても、合えて否定や弁明をしようとは思わない。 (少女趣味であって、ロリではないが)むしろ(略) ・・・しかし、思うのが、何だか要素の問題なのかもしれないが、 ・・・に心惹かれない程に心をひきこもらせることというのは、本当に可能だろうか。 自分は心の引篭りを自称しているのですが(出不精の正統化の意味合いで) 本当にそんなものに出会った時、態度はともかく必ず心は動く(筈)・・・・美しさや魅力に無感動でありたいという願い。 「ただ今のままでいい」それではでもどうにもならないというもどかしさ。 誰もが抱く「なんであたしは」という思い。つめどつきない、沈む船の個人的バケツリレーとも、 時に感じる、人類共通の本質的な意味合いなのだと信じたくなる何かを、現代世相にマッチして描いた傑作だとも思います、少し誉めすぎだけど。

もしかすると隠者に近い人、近くありたい人は全く別の感想を抱くものなのでしょうか。 どのみち、あとまだまだ長い年月をいきないと隠者たりえない(金がない) ので、自分が思うことは何かを結ぶに足り得ません。
標語で何時かはハーミットってね。

PS、会社を去る方から最後に貴重な意見を頂きました、「 オモシロいけど、こんな本ばかり読んでると益々・・・・になるよ」
似ても似つかないものだとも思うのですが『グインサーガ・外伝9/マグノリアの海賊』で、 軟派で野望で、誰よりも生きているイシュトヴァーンが、ルネを口説いた時の文句を思い出した。 口説いたんじゃなく、語っただけなのだけど。
自分より強い。信じたいと思う何かを求めて・・・って感じかね。

「私の心には赤い血が流れていないと思うのか?こんな不細工な大女だから、女心を持っていないと思うのか?
  私がおまえの美しさや魅力に無感覚でいられると思うのか?
  私にはー石の柱には、ひとの心なんかないと思うのか?
  私は天にいる誰かにどんなに叫びたいか。ーなぜ、なぜ私だけが、って!
 何故こんなひどいー私はただ、八人の兄弟のために身を砕いて働いてきたというのに。
 .....このままこうして老いていって、誰にもふりかえられもせず、恋も知らず、路ばたの石ころみたいに老いてゆくだけの人生。
  他の女にはありとあらゆるゆたかな愛や喜びや幸せが与えられているというに、私は、私は決して知ることがない。
 愛され幸せも、女としての喜びの苦悩も悲しみも、わがこを腕に抱く幸せも、何一つ私には許されないまま、 もう若くなんかない。美しかったことなんか一度もない。だけど、私はー私は」
KeyWord:中原岬 プロジェクト「NHK」
「待ってよ!きっと後悔するよ」 「何がだよ。そもそもあんた何者だ?」
「ひきこもりのダメ人間を救済する、親切な娘です」
「手紙に書いてあった「プロジェクト」ってのは、なんなんだ?」
「計画の内容は、現時点では極秘です。でも、悪いようにはしないので安心してください」

「こうやって、猫が欲しがってるものをあげてるうちは、きっと大丈夫。あたしのことを覚えていてくれるよ。
  邪険にしないよ。毎晩公園にきてくれるよ。・・・ね?」
KeyWord:佐藤達広
「こんな天使、いらねぇよ!ボディービルダーかっつうの!天使っていったら、もっと、こう可憐で、萌え萌えで、ロリロリな」
KeyWord:『佐藤達広Vs.中原岬』
「止められるものなら、止めてみせてよ、どうせ無理だけどね」

「俺が岬ちゃんのことを心底好きだとか、そんなことを言ってみたら、どうする?」

「どうしようもないよ。もうおしまい。だって、佐藤君なんて、しょせんひきこもりだし。
 すぐに気が変わったりしそうだし。それにホントは、あたしのことなんて、ぜんぜん好きじゃあないんでしょう?
・・・誰かが、頭からつま先まであたしのモノになってくれなきゃ、あたしは死んじゃう方がいい。
 というわけで、あたしの欲求は、どんな人間にだって叶えることはできません。
あたしはそれを、知ったのです。だからつまりどっちみち、あたしはさっぱり死ぬべきで」



『』 / ♪:☆☆☆★
感想
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