『症例A』 | 多島斗志之 | 角川書店 | 2000/10 | ♪:☆☆☆★★ | 作品紹介 | 少女A |
---|---|---|---|---|
精神科医・榊が出会った、ここでは亜沙美と呼ばれている、17歳の少女が心に抱える病。 彼女は天使のように微笑み、無邪気に振るまい、そして嘲り、怒り、泣く。 傷を持った人間の心がうむという、脳が抱える不思議な現象。 榊は同僚の臨床心理士・広瀬由紀と供に亜沙美の治療にあたる中で、以前に自らの診断ミスで自殺してしまった、患者の姿思いうかべて・・・ | 感想(ちょっとねたばれ) | 解離性同一性障害 | ||
実は面白い本でした。 最初に読んだ時は「なんかー精神病で、多重人格とかって.....あんたぁバカぁ?」 「贋作問題も・・・実は結構唐突?絡んでるようで無理も感じるし〜」とも思ったのですが、バカは私でした。 ・・・が、以前から私は(といっても、流行本に書いてある程度のものを読んだ感想で) 多重人格ってのは、本来は一人で抱えるべき問題を、受け止めなかった、きれなかった 「心を分けてしまった人」だと。多からず少なからずこういう傾向は誰にもあると思うのですが、 私は多い方です(笑) ただ決定的に違う部分が「記憶」の問題なんで、これって一種の記憶障害なんでは?とか。 榊は結局は、理想の医療を目指しながらも、結局スタート地点に戻ってしまった印象・・・。 広瀬由紀も「病を直すことがBESTではない」といいながらも、なんか色々と矛盾を感じるし・・・。 医者ってのは、病気を治す職業だと思うのですが、こと精神科医に関しては 元々鬱傾向のある人とかを「治療」と称して、無理に社会に出すことが果たしてそれは幸福なのかなぁ・・・とか。 結局は、幸福の定義の問題になってしまうのですし、「生きる喜びと誇り」、ここでまた「喜び」と「誇り」の定義を問われると眠くなりますが。 妥協や楽観、足るを知るのも幸福の定義の一部なのだとも思いますし、 ただ白黒つけるのではなく、灰色を残すこと・・・。 ホントに、心の問題なんて考えたら、一生の作業になると思うのです。 あまり考えても報われないし。老婆心に勝るもの無しともいうし。 この三人、これから一生「灰色」と直面して行くんだなぁ...みんなそうですが、より真摯に。 でも、実はこれが彼らのコミュニケーション手段なのかも知んないし・・・。 最後のページが重くて、逆に悲しくて嫌でした。「あんたが、そこまでする必要はない」と思った。何故か。 | KeyWord:xxx | 聡 | ||
「雨の中で傘をさしかけるのとは訳が違いますよ。先生ご自身がずぶ濡れになるかもしれませんよ」 |
『』 | 多島斗志之 | / | ♪: | 作品紹介 |
---|---|---|---|---|
感想 | ||||
KeyWord: | ||||
「」 |