『家族八景』 | 筒井康隆 | 新潮社 | 1972/2 | ♪:☆☆☆ | 作品紹介 | 短編八篇 |
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自らの持つテレパシー能力を覚られまいと、
様々な家庭を転々と渡り歩く、可愛いお手伝いさん火田七瀬。 どんな家庭にもあるであろう上辺と体裁も、彼女の能力の前では通用しない。 ・・・精神感応能力者・火田七瀬、18歳から19歳までのお手伝いさん時代を描く。 『無風地帯』・・・上辺の幸福を享受する、ある女性の驚くべき精神心理。 『澱の呪縛』・・・13人家族という集団にに染みついたある匂い。 『青春賛歌』・・・30後半で尚青春を賛歌しようと願う女性の矛盾と現実。 『水蜜桃』・・・何かを失った男が七瀬に求める代償行為。 『紅蓮菩薩』・・・菩薩を演じる女性が背負う紅蓮の憎しみ。 『芝生は緑』・・・隣の芝生や垣根は立派に見えるらしい。 『日曜画家』・・・芸術家然とした男が描く、恐るべき精神世界。 『亡母渇仰』・・・母親に依存して生きた男がそれを失った時。 | 感想 | アホな理由 | ||
今更なんでこんな昔の本の感想を書いたのは何故かというと、
あるゲーム(輝くなんたら)のお気に入りキャラが七瀬というのですが、
「七瀬かぁ...七瀬といえばアレだろ、あれよ」などという、
ちょっと自分でもアホすぎて信じられない理由です。
しかし自分のこういう部分は結構好きなので、
これからもこういうアホな更新はすると思います。 物語自体の感想はやっぱり面白いですね。 ん〜特に大分前に読んだ時と違った印象なども受けなかったのですが、 まあ以前も今も共通して思うことは.....『七瀬は覗き屋』つーか覗きすぎ、 ある意味で完全に『覗き』は彼女の趣味。 それと、七瀬がどれほど美人なのかは判らないけど、 会う男会う男が初対面で七瀬を頭の中で犯そうとするのはどーいうわけだ(笑) そりゃそういう部分は誰にでもあるし自分にもあるけど、あれはちょっと酷いぞ。 「うわ美人」「ふえ〜好み〜」と思ってもいきなり犯す場面は想像しないだろ。 せいぜい二の腕に萌えたりするくらいだ。....一、男性として一応主張しておく。 まーイヤラシイのはともかくとしても。 筒井康隆って何か男に怨みでもあるのか、ついでにいえば女に対してもそれを感じる。 七瀬シリーズ三部作は、それぞれ全く毛色が違う作品ですが、この『家族八景』は コメディタッチといわれています。.....う〜ん、コメディかね、これ.....。 | KeyWord:火田七瀬 | 覗きすぎ | ||
「負けた.....」 |
『七瀬ふたたび』 | 筒井康隆 | 新潮社 | 1975/5 | ♪:☆☆☆★ | 作品紹介 | 七瀬の世界 |
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お手伝いさんを辞めた七瀬が、二十歳になって、より美人に(笑) .....能力も強くなって帰ってきた! 自分以外の様々な能力者との出会い、そしてはじめての仲間。 そして能力者を狙う謎の組織........精神感応者(テレパス)、火田七瀬の運命は? 七瀬を巡る、連作短編五篇。 『邂逅』・・・はじめて出会った仲間は幼い子供。もう一人は予知能力者....そして悲しい事実。 『邪悪の視線』・・・透視能力を邪に使用する男。そして七瀬を崇拝する声。 『七瀬 時をのぼる』・・・最終能力者との出会い。 『ヘニーデ姫』・・・能力者を狙う組織。七瀬に迫る危機。 『七瀬 森を走る』・・・願いと祈りをこめ.....七瀬、森を翔ける。 | 感想 | 七瀬は二度くる | ||
こちらも今更ですが古本屋さんでみかけて、好きだったんで感想書きたくなってしまいました。 まーたいしたことは書いてないんですが。 ありきたりな感じも今読めばしますし、なんか七瀬ってキャラが立ってない(今風に) 気もするのですが、それでもやっぱり面白いですよー 異能力者の悲劇とか葛藤を描いた作品自体が、結構好きなんで。 七瀬シリーズは、それぞれ毛色が違うのもまた印象的だし。 | 感想(ネタバレ) | 七瀬の祈りが通じますように | ||
・・・別な意味でそれは通じてしまいますが(謎) 今読むとそんなに感銘を受けないようなネタも多いですが、 当時は名作と称えられた、誉れ高き小説。 アカシックレコードねたなんかをサラリと扱ったりもしてるし。 前作『家族八景』でも感じましたし、今作でもそうなんですが、 七瀬って結構女王様気質なところありますよね(笑)一種の選民意識とは別に、です。 まー七瀬自身もそれは多少は自覚してるようなのですが。 本人が思ってる以上にあると思いますよ、私は。 七瀬以外にも、其々出会う能力者..... 「ノリオ」・・・七瀬と同じテレパス、両親に愛されてない幼い子供。七瀬と行動を供にすることに。 「岩淵恒夫」・・・予知能力者。七瀬を好きらしい。初対面時、いやらしい妄想を覗かれた事を悔やんでいる。 「ヘンリー」・・・黒人男性で、七瀬を崇拝する念動能力者。七瀬の命令なしでは能力は使用できない。 色恋ではなく崇拝の感情なので、七瀬を性の対象としてみない珍しい人。 「漁(すなどり)藤子」・・・最終能力・時間旅行者。時間旅行のせいか実際よる老けてみえるのを気にしている。 「西尾」・・・邪な意志をもった透視能力者。七瀬と敵対する。 ......なんかも、結構魅力的。 悲しく謎が明かされないラストも、それなりの結論。 次第に強力になってしまった七瀬を「女神」にしないための選択。 もっとも次回作では....... | KeyWord:火田七瀬 | 七瀬、戦う | ||
「人の心が読めることを、誰にもおしえてはいけないの。ひどい目にあわされるのよ」 | KeyWord:ヘンリー | 七瀬お抱えの念動力者 | ||
「七瀬さん。わたしはあなたの賛美者です」 「七瀬さん。わたしはあなたの崇拝者です」 「七瀬さん。わたしはあなたの召使です」 |
『エディプスの恋人』 | 筒井康隆 | 新潮社 | 1977/10 | ♪:☆☆☆★ | 作品紹介 | 女神に見初められし者 |
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ある学校で事務員を務める火田七瀬はテレパシー能力を持つ美しき女性。 彼女のアンテナ(能力)は、通常とは全く違う不思議な精神構造を持った 男子生徒を感知する。 「彼」に興味を感じた七瀬は、何時ものように彼を調べるのだが....... 七瀬三部作・精神感応能力を持つ火田七瀬の最後の舞台。 | 感想 | 生命の樹 | ||
ん・・・・?『七瀬ふたたび』で、七瀬は死んだのでは......。 今までの七瀬シリーズと全く毛色が違う。そもそも短編じゃないし。短いけど。 「エディプス」 ギリシャ神話で、知らずとはいえ、父を殺して母を娶った逸話から。 子供が親に感じる愛憎、相反する二つの感情の流れ。 母親に対する愛情と、母親の所持者たる父親に対する憎しみ。 .....そういった感じで、本来「母・子」なんですが、 なんだか幅広く使われているような気がしないでもない。 近親者に関する愛憎を精神的に説明するシステム。 近親者に抱く性的な欲望を正当化する意味合いも多少こめられているような気がする。 | 感想(超ネタバレ) | 多元宇宙とアカシックレコードの改変 | ||
「七瀬ふたたび」で、強力なテレパスとなった七瀬。 人に自らの力がバレルのを恐れながらも、 何処かで人を見透かしてきた(しょうがないけど)七瀬。 自らに能力が存在する意味と使命を。自然という名の機構が神? だと認識して、必ず自分や他の能力者達の力には意味がある筈だと、 心の何処かで頑なに信じてきた七瀬。 ....その七瀬がホントウの神という意志と出会った時........ 今まで、人の心を覗き続けていた七瀬。 「心を見透かされる」それが、人にとってどれだけ耐えがたいもの なのかという事は、岩淵恒夫の件でわかっていた筈。それでも七瀬は覗き続けていた。 やめることもできた。それでも「自らの能力の意味」を信じて。 .......七瀬自身に、罪は無いと思う。 誰だって、多くの人が同じことをすると思う。 むしろ七瀬は善良であったとさえ言える。 ....それでも、人の心を覗き続けた七瀬だからこそ選ばれた、告げられた。 「愛と幸福な人生が、完全に約束された」 この結末も、七瀬が受取らなくてはいけない。七瀬だから受取らなくてはいけない。 七瀬は女神にはなれなかった。 女神に選ばれたのは、善良で易しい普通の人だった。 神になった彼女は、少し我侭になった。 女神が願った代償行為として、七瀬は選ばれた。 七瀬はこの後に「覗く」行為を止めるだろうか?やめないと思う。 だからこそ、罪は無い。それでも罪深き七瀬だからこそ女神に選ばれたのだから。 | KeyWord:火田七瀬 | エディプスの恋人に選ばれた者 | ||
やめて かえしてください ワタシハ 違う違う違う 愛してます どうして もう見たくない 終わる時まで |