御手洗潔の事件簿 #02


『御手洗潔のダンス』 島田荘司 講談社 1990/7 ♪:☆☆☆★★
作品紹介
感想(ネタバレ)
KeyWord:御手洗潔



『暗闇坂の人食いの木』 島田荘司 講談社 1990/10 ♪:☆☆☆★★
作品紹介 人を食う大楠
横浜、暗闇坂を部隊に、人を食うという大楠の元で起きた不可解な殺人事件..... 昭和戦前前の時代からの折り重なった因縁を御手洗潔がほぐし今に繋げる。
感想(ネタバレ) 松崎レオナまとも説(笑)
奇想的な謎解きですが、それよりも何よりも私がこの作品内で気になったのは 核心ですが「レオナ、男は作るな、子供を産むな」の部分です。 異常性格や変態性愛嗜好を持つ者がいたとして、 遺伝的な部分も多少はあるのでしょうが、 その肉親や血縁を殺し、子供を作るなという部分は少し考えさせられる部分もあります。
KeyWord:御手洗潔 「孤独な人ね、でも」
「我々は、こういう世界の住人になるのは、まだ早すぎるよ。」



『水晶のピラミッド』 島田荘司 講談社 1991/9 ♪:☆☆☆★★
作品紹介 ピラミッド
『ピラミッド』人を惹き付けてやまない不思議な建造物。 中でも最も巨大で有名なものは「ギザの三大ピラミッド」の一つで 「クフ王のグレイト・ピラミッド」と呼ばれるものだろう。
それに似せて作られたガラスのピラミッドでの映画撮影中に不可思議な事件は起きる....
感想(ネタバレ) レオナか....
謎解きや展開は勿論、御手洗節も好きなのですが、 前半部分のお話が好きです(笑)
島田さん的挿入話なんで、勿論ハッピーエンドじゃないですが..... ミステリに拘らず、こういったお話を書いて欲しいなぁ.... そしてハッピーエンドを見たい、とさえ思いました。
とはいえ、ハッピーエンドはそれぞれが考えればいいのでしょうとも納得もしているのですが。
KeyWord:ディッカと... 古き時代
「おのれの弱さを真に知る者こそが、まことの強者だ。
 学ばぬ者に、強者の魂は宿らない。
 おのれを知らず、幻のような一時の権力に溺れ、酔うものは盲目の犀にすぎない。」

「お前の言う事は、詩を読むものの夢の語りだ。
 そのような幻は、多くの者の酒のように酔わせる。
 だが、あまりに非常識だ。 現実からかけ離れている。
 今のように、多くの者の失笑をかうばかりで説得力を持たぬ。
 あまりにありえそうもない空想だからだ。」
KeyWord:エリック・ベルナール 美術担当
「かってニュートンも言った、宗教に科学の真理を持ちこんではならない。
 さもないと宗教は異端になる。科学に宗教の真理を持ちこんではならない。
 さもないと、科学は空想になる。」



『眩暈』 島田荘司 講談社 1992/9 ♪:☆☆☆★★
作品紹介 なにもかもがどくでよごれています
御手洗の元に持ちこまれた、意味の一環しない不可解な文章。
だが彼は「この文章は空想でも何でもない、精神異常な人間が書いたものでもなく、 事実を日記にしただけです」だと主張して興味を示す.......
感想(ネタバレ) めまいがする.....
ちょっと強引かな.........というか相当無理があると思います。
単純に納得できない部分だけでも、 マンション外観からの窓のトリックはもう少し構築できた筈だという事、 あれはバレルだろ速攻で.....10人以上の人間が住んでいて 気づかない人間がいるとは思えません。一般的には思うものなのでしょうか....
他にも6月に殺人をして、5月だったと言う「肉親」の証言なんて、採用されないどころか、 かえって障害になるだけだと思うのですが.........ましてや、隠し子にです。
それ以前に....こんな隠し子がマスコミばれない筈は無い...... だって、たくさんのお母さんがいたんだから..... ありえる可能性としてはマスコミの良心ですが、 時間と多様性は、失ってはいけない職分でしょう。
眩暈がします........ミステリはトリックでは無く、物語ですが....これはちょっと..... と思う部分もあります。めまいがする.......
というのは冗談です、こういったミステリは一種のファンタジーですから。
私的には謎解き云々理屈云々よりも、読んで楽しいか好きかでいいと思います。

げひでなことも、おぞましいことも、そういうことがたくさんあるといいます、 でもそれはあります。
良い子ちゃんも悪い子ちゃんも、その事は忘れてしまっているようです。 よいこは自分いっしょうけんめいです、何故ならわるいこが怖いからです。 自分じしんをしっかり持ちたいから、いっしょうけんめいがんばります。 でもよいこだけじゃないので、悪い子もいます。自分じしんを守るために、悪い子ものみます。 わるいこは、それをほんとうはしってるのです。 ほうりつは、よいこのみかたではないです、つよいたちばのひとが作ったもので、 なかなかよくならずに、いろんなひとをくるしめます。 少しずつかわっていくのですが、川と海と空のよごれにはかてませんでした。 わたしは、いやですが、なおってしまったので、叫ばなくなってしまいました。 叫ぶことは自分を切り刻むようにいたいからです。 だから、何時も誰かにお願いしてるのです。わたしはなにもしません、するきもないです、めんどうです。 眩暈がします......
KeyWord:三崎陶太 サリドマイド
「僕がどれほどの苦労をしたかは、あなた方の誰にも解りはしないでしょう。
 また、解るなどとは誰にもいわせない。」
KeyWord:野辺修 今日で全てが終りだって..知ってる?
「お前こそが悪魔だ!お前のような嫌な奴は見たことがない。
 鼻持ちならず、図々しく、世界中に自分より頭の良い奴はいないとうぬぼれている。
 退屈で下等で愚劣なこの世界の、おまえこそが病原そのものだ.....
 おまえのような病魔は退治しなくてはならない......」
KeyWord:御手洗潔 やはりどこか、冷えている、暖かさを失ってもいないけど。
「五体満足のぼくに、何も解るわけはないさ」
「ぼくはそうはおもわないね」



『アトポス』 島田荘司 講談社 1993/10 ♪:☆☆☆★★★
作品紹介 魔女
今や、ハリウッドに名を馳せる松崎レオナ主演の『サロメ』の悲劇。
次々と関係者を襲ういわれなき悲劇の中、 死海湖畔での撮影中に次々と起こる謎の殺人劇。
吸血鬼すら思わす悲劇の中、狂気を顕にしていく者の名は......
感想 鮮血の淑女
松崎レオナものです。『暗闇坂の人食いの木』『水晶のピラミッド』から読みましょう。
私的には謎解きよりも、その前奏に震えました。 この前奏部分だけで、一つの作品になるのではないでしょうか...... ただ、あくまでもハッピーエンドで.....矛盾してますね......
感想(ネタバレ) サロメ
謎ときの強引さはやはりありますが、作品の魅力とは別だと思いますです。 謎解きの全て用意されいますし、少なくとも本作品は、そうです..... というか別段推理なんてしないで、読んでいるのですが、 これは何気に「あ」と判った感じがして(何時も外れますが)そのままだったんで(笑)

ただ、ウォーキンショーをもっと凹ましたいとか、 ルイスはもっと文句を言えとか、色々と(笑)思う事もありますが。
私的には、エリザベート・バートリーの件が何気に......というか、この件でかなり憤慨。

それと『アトポス』に関してですが、この作品の中で語られてる事実は全く遜色はありません。 「自分の為に我慢しなさい」......我慢とかそういうレベルでは無いのです。 これは理解の範疇で説明は出来ないもので、経験なのです。
そしてこれは克服の出来ない病、 それも自分に罪が無い病。あったとしても、直接的には絶対に無いと断言したいです。 かといって全てを否定できない。
私は、軽度のストレインジだった事があるので、それを断言してもいいです。
貼ったかさぶたを、好き好んで蹴散らしたりはしないのです、 作品中に見られる狂気も。血が流れる自分の肉を切り裂く行為も。

『アトポス』の患者が増えているのは間違いないでしょう、 重度の場合はTVでもオモしろオカシクさえ報道されています。 私には辛くて見る事も出来ません。見なくてはいけないのでしょうが。

何時、何故かはわかりません、本当にわからないのです。 私はほぼ、それを克服しました。間接部分に血が流れる程度は挨拶なんで、問題ないです。 他部分もまあ。皮膚が消失していた時、足を一歩踏み出す、腕を少し動かす、 それがどんなに苦痛だったか....これは「仲間」にしかわかりません。 そして、私は何も出来ませんが、それを書いてくれた、島田さん。常に弱い人を見つめながら、その暖かい瞳と、 エンター性を高まる作品を描く作家として感謝。
KeyWord:エリザベート・バートリー 夜叉にも菩薩にもなるという事でしょう(謎)
「私がいつまでも若く、美しくいることがあなたの望みだといいましたね.....
 その言葉に嘘はないとも言ったわね......では、死んでちょうだい。
 あなたが私に血をくれれば、私は若くなれるのよ」
KeyWord:ヴィエナ ・・・・・・・
「わかったは、どうもありがとう。あなたの犠牲的精神に敬意を表するわ。
 もし私が駄目だったら、次の人に引き継ぐ」
KeyWord:御手洗潔 白馬の王子様(笑)
「生き物の場合は四つなきゃ駄目だ」
KeyWord:松崎レオナ この人だけはワカラナイ、御手洗以上に...
「気がつかないと思うかもしれないけど、私は心の中のここに、すべて持っているのよ。
 私は本当のことを知ってるの、ええもちろん。
 私には解っている、あなたがいなければ、私なんてなんでもなかったのよ」
備考 『サロメ』
ちょっと調べてないので、ブギーコーナーから転載しました、いつか気が向いたら直すです。

結構広い意味で使われているのですが、共通して「魔女」といった意味合いが強いでしょう。 聖書やバレエ劇、オペラなど、ジャンルによって少し物語に違いがあるのですが、作品中のはバレエだというので、イギリスの「オスカー・ワイルド(1854〜1900)」の聖書をモデルにした劇「サロメ」でしょう。 王国の姫サロメは予言者ヨハネに接吻を望むが断られてしまう。サロメは「ヨハネの首」を父親である王におねだりをし、「7つのヴェールの踊り」を踊る。皿にのったヨハネの生首に接吻して笑うサロメを恐れた王は兵士に命じてサロメを盾で押し潰してしまう。 というお話です。曲の方は聴いた事が無いので、何ともいえない.....

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