御手洗潔、
そして石岡と里美の事件簿など #04


『ハリウッド・サーティフィケイト』 島田荘司 角川書店 2001/8 ♪:☆☆☆★
作品紹介 HOLLYWOOD CEBTIFICATE
殺害されたハリウッドのトップ・スター、パトリシア・クローガー。
その殺害現場、一部始終を撮影したスナッフ・ビデオが存在した。

ハリウッドを代表する女優の一人であり彼女の友人レオナ=松崎。彼女はLAPDのエドと供に、 事件の裏に隠れていた臓器密売に関わる地下組織と、ハリウッドという巨大な幻影城がうみ与える影響の副産物に触れていく・・・
感想(ネタばれ) 科学は人間の幸せの為には進歩しない
御手洗シリーズの外伝?っぽいようにも感じる本作品ですが。 別段にレオナのFANでもないし、思い入れも少ないの(変人・危険人物という認識)・・・私。
本作品では結構酷い描かれかたをしてる上に、R指定作品(^^;だとも聞きましたので、いちおーは覚悟を決めて読みました。

・・・感想は・・・「レオナってこんな人でしょ」という結構酷い感想。それが全てではないのでしょうが。
イエローペーバーに書かれる記事も間違い無くレオナ=松崎であって、その一方で親切で面倒みのいい料理の 好きなレオナレオナ
隠れた加虐趣味・ヒステリックで自己的な部分が目立つことは目立つので、悪い感覚ばかりが残る人物なので印象は悪いのですが、 本作品を読んだらば、私はかえって印象は好転しました。好転はしましたが、好印象は・・・ですが。

彼を撃ってしまう場面も「狙った」のか「被弾した彼に対する咄嗟の感情から撃った」かは、 誰にも、本人にも判らないのでしょうし・・・確かにアレはレオナのカッとしやすい性格のうんだミスではあるのでしょう。 御手洗や石岡ならば、絶対に撃たないと何故か思う(そもそも、ああいう状況にならない)

・・・「暗闇坂」とか「Pの密室」の件とかにもなるのですが・・・ 御手洗もそうなんですが、レオナも「祖父・祖母」から悪い影響。 つーか彼ら彼女らを反面教師としてる部分あるような。レオナはそうでない別の部分も感じますが。

遺伝というものが確実に影響を与えるものではなく「環境・教育」・・・ 更にいえば「時代・土地」が個人を形成するのでしょうけども、これって逆にいえば「人まかせ」みたいな部分あると思うですし。
遺伝とかは、その能力や向き不向きであって、人格とか意志が向かう所のベクトルの流れの構成ってのは、 育ちや文化の違いによって、幾らでも変わってしまうのでは・・・とか。

御手洗は、なんかそういった部分を自らたくさん語っているのですが、 レオナの中に眠る狂気ってのは・・・やっぱ、なんか、あるのかなーとか思います。 御手洗や石岡では出さない「島田色」を、レオナで出して頂きたいものです(マジ)

本作品には、レオナが客観的に自分を語る場面も多いのですが、 登場人物其々の語るレオナ・・・、これが、また違った印象を受けるのが。 。。。「レオナ.....嫌い!だ!」とか思ってたんですが、御手洗が去ってから数年、久々のレオナ登場のFANなら必読の一冊。 FAN以外にはあんまり(汗)

PS:ところで・・・今、レオナって何歳だ(汗)御手洗もレオナも、石岡も、 どーも年齢をかんじないというか、感じたくないというか、感じさせないというか。
KeyWord:アラン=パークス 女衒
「今までのあんたは、あれは全部お芝居だったんだ。今、あんたは地を出してる。今のあんたが本当のあんただ」
KeyWord:レオナ=松崎 パックス、カーナ
「私は、妊娠用の実験動物にされるところだったのよ、記憶を消されて、何度も妊娠させられて、その後はきっと殺されていた。
 ・・・そんな組織を裁かないで、大統領特権でうやむやにするの?そんな国、長くはないわね!」



『ロシア幽霊軍艦事件』 島田荘司 原書房 2001/9 ♪:☆☆☆
作品紹介 2000/9
御手洗がスゥエーデンに立つ前、1993年の夏。
レオナ宛に届いたファンレターの中に「・・・あの写真さえあれば、あの人はあんな目にはあわなかった。 おじいちゃんは遺言で、アメリカにいるあの人に謝らなけらばならないと・・・」ファンレターにしてはかわった内容に戸惑った レオナは、横浜馬車道の御手洗に事の経緯を告げる。
「こんな退屈な事件はみたことがない」そういう御手洗だが、それ以上に退屈していた為か、くだんの写真があるという、 箱根の富士屋で、芦ノ湖に浮かぶ、謎の軍艦の写真に出会う。
『季刊 島田荘司02』(2000/9)収録作品の中篇の加筆修正して、新たにエピローグを加えたもの。
感想(ネタばれっぽい) ツァーリの娘
「歴史ミステリ」色が強くって、ロマノフ王朝アナスタシアを扱っています。
アナスタシアを扱った作品には、何度か触れる機会もあったのですが、 どーも聞きかじりばかりで、エンターティメント系しか読まないせいか「ここ、違くない」とかのボケ入らず、じっくりと楽しめました。
・・・アナスタシアの件が、脳の問題・・・。御手洗がスゥエーデンに立つきっかけにもなったのかもしれないし。

ミステリとしてみて、驚いたのが軍艦の件です。男の子として(笑)「戦争はよくないし、当然兵器なんて。・・・でも、 戦車とか戦闘機とか、この世界から無くなってしまうと・・・少し寂しいのかもしれない」と矛盾する 想いを抱く私は(火の粉を知らないだけだとも)、ハイテク最新の兵器もいいと思うのですが、 大戦時代の人間臭さ・技術っぽさ?とでもいうのでしょうか・・・そんなのも好きです。 好きっていうと語弊があるのでしょうが・・・。
こんなものが、本当にあったんですね。実際はまともな使用に耐えるものでは無かったそうですが、 記録に残ってることがホントだなんて誰にもいえないし。
「どうして、湖に軍艦が浮かんでいるのか?」なんてマジメに考えたのですが、 いわれてみれば考えられるこの可能性が、一寸も頭をよぎらなかった辺りに悔しいやら嬉しいやらで(^^l

アナスタシアに関しては、なんかよくわからない部分のが多いのですが、 8つの宮殿で、皇族達が食事を残す間に、何人もの人間が、望まないのに罪をおかして、 その故に死んでいく。ってのは事実だったのでしょうが、立場違えば・・・つーか、環境と教育の問題だと思うので、 彼らにだけ罪を押しつけてったのは、いけないのかな?とかしか判りません。 殺すなら、生かして・・・とも思うのですが、ただ単にロマノフ。それであるが故に何○倍もの富を専有する血統を、 感情的に根絶やしにしたかった。そういった部分もあるとも思う。客観的ですが。
「ただ貴族が貴族であるというだけで、何もかも」って気持ちってのもあるのかもしれません。 貴族な彼らは、生き延びて他国に逃れてしまえば、再び貴族としていき、極端な話、復讐もするかもしれませんし。 貧困とか、そういったもの。ロシアが、資本主義ではなく社会主義をとっていったのも、 こういった事が背景だったのかなぁ・・・とか。 関係ないんですが、「経済」ってのが上手く順調に廻っている国とかって、 全体の何割もないんですよね・・・・たぶん。
ニコライ二世って、わりと好意的に描かれていますし、名君ではないけど、 名君を必要としない時代にうまれた、巨大な国家の皇帝として。

アナスタシアが生き残ったのか、皇族がどうなったのか、 そんな事は今とならば詮索しても意味がない、あっても何かうまくいえない・・・・ ただ、もしかしたら、アナスタアシアは死んでいて、後に出てきた彼女らは全て嘘吐きだったのかもしれなくても、 その事自体に意味がないとはいえないような気がしてくる。 結局、本当のことはわからないままに終わってしまう。それが歴史だと想うのですが、 それ故に価値があるのだとも想うような。もしかしたら、やっぱり答えを求めているわけではない、と。

それでも、歴史とみて鑑みれば、彼らを殺すことの意味はどうなのでしょうか。
ロマノフの財産。そういったこと抜きで・・・それを抜いて考える自体が歴史を無視しているとも思うのですが。

アナスタシア・・・世界の六分の一を統治していた皇帝の娘。ロマノフの後継者。
生き延びたのかどうかは判らないけど、彼女もただ一人の人間なんですよね。 当時た関係者、今から、タブロイドでみるのではない、アナスタシアって、結局このまま終わっていってしまう気がしますけど・・・。

PS:アナスタシア・ストーリーって、どうして甘口な部分が強調してかかれるのか(汗)
KeyWord:
「歴史とは、多数の合意による嘘八百さ」



『パロサイ・ホテル−御手洗パロディ・サイト事件2 島田荘司 南雲堂 2001/9 ♪:☆☆☆★
作品紹介 上・下巻です
絶海の孤島にそびえたつホテル。その地下に存在する開かずの扉・・・ 否、それは今は外界から遮断されている、鉄の箱だったのだ。

絶海の孤島という舞台で、石岡と里美が出会ったものは、25篇の『御手洗パロディ本』だった。
この全てのパロ本と、ホテルに散りばめられた鍵の謎を解くことが出来れば、 地下室の秘密が明かされるのか・・・?
ちなみに、御手洗は電話すらかけてこない中で、石岡はこの謎を解けるのか?
感想(ネタばれ) ネイチャー・ボーイ
・・・私には解けません。つーか無理。
少なくとも、25篇読んだ段階で、この謎をクリアできるのってかなりムズイ。まーいいけど。毎回だし。
「ヒントなし」で考えて、ドルアーガの塔(某ゲーム)よりは難しくないけど。

『二年前の選択に対する回答』
『この花の咲く木の下』
『消えなかった「キ」』
『トロイメライの鈴』
『作家と探偵の聖夜』
『雪に吊られた男』
『幻想の中の天使』
・・・などが印象的でした。ある意味で、珠玉短編なんで、もう一度読んで見たいです。シラフで。



『』 島田荘司 / ♪:
作品紹介
感想(ネタばれ) 偶像という肖像
KeyWord:
「」



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