#須堂信一朗&牧場典子・智久姉弟
ゲーム殺人事件シリーズ


『囲碁殺人事件』 竹本健治 ソニー出版 1980/7 ♪:☆☆☆
作品紹介 碁の鬼
<碁の鬼>といわれる槇野九段が、棋幽戦対局の途中に首を切り取られて殺される。

アマチュア七段でプロを目指す天才少年・牧場智久と、姉・典子、大脳生理学者・須堂はこの殺人事件の謎を推理していく......。
感想 囲碁
私が竹本さんのFANになったのは『ウロボロスの偽書』がきっかけでした。
それで竹本さんの作品として次に読んだのが、この『囲碁殺人事件』でした。
ウロボロスを読んだ時に感じた「奇妙な何か」を期待して読んだので、初めて読んだ当時は結構........「なんか普通の本だ」という印象でした(笑)。 でもって、改めて読んでみるとすっきりした作品ですね。碁を知らないと判らない謎に関する部分はさておいての感想としてですが......。

ところで、将棋やトランプの出来ない人は稀にしかいないでしょうが、囲碁の出来る人は稀にしかいない......と思うんですが、私もそんな一人です。
全然まったくと断言して囲碁のルール知りません。
この本には囲碁の解説もあることはあるんですが、どうもよく判りません(汗)。 でも最近はある漫画(ヒカルの碁)が好きなので、以前よりも多少興味があるせいか、初めて読んだ時よりも楽しめました。本には時代云々じゃなく、 読む季節とか、読む人にとっての『時』と『場』みたいなのがあるってことでしょうか......。囲碁を理解してればまた全く違った感想があるのも。
それでもやっぱり囲碁は難しそうです、奥が深いっていうんでしょうか?でも入り口が狭いかも........。
KeyWord:御原九段 牧場智久の師匠
「幸いか不幸かよく判らないが、
 いつしか本人までもがその槇野像を、本当の自分の姿だと思いこんでしまった。
 .....となると、あとはもう、そういった言動に拍車がかけられるばかりだ.....
 ただ、そこに悪意はない。槇野君はいつも、自分の信念に忠実な男だったよ。
 そういった意味で、彼は大きな赤ん坊だったんだ。
 臆病で小心な、それゆえに自信家で我侭な赤ん坊だったんだよ。しかし逆に言うと、
 囲碁というもの以外、表現の仕方を知らないって事は、碁打ちにとっては最高じゃないかね....」



『将棋殺人事件』 竹本健治 ソニー出版 1981/2 ♪:☆☆☆★
作品紹介 香歩の問題
「恐怖の問題」という噂が街に広まっていた。
物語は将棋との意外な関連性をみせ、そして過去と今に起きた殺人事件の謎は......。
感想 詰め将棋
将棋ならルールは理解できる.....と思ったら詰め将棋がメインです。勿論わかりません(汗)

将棋の歴史とかそういった部分は楽しく読めました。 謎の解明の仕方がいかにも竹本さん的で、苦手な人はいるでしょうが私は納得のラストだと思います。
こういう物語の収束のさせかた自体が好きなもので.....
KeyWord:秋野沙希 竹本さんが書く....こういうキャラ好きです
「わたしの頭はがらんどう、なくした過去を懐かしむ....」



『トランプ殺人事件』 竹本健治 ソニー出版 1981/8 ♪:☆☆☆
作品紹介 コントラクト・ブリッジ
密室から突如すがたを消した、ブリッジ愛好家の女性。
彼女が残した「カードゲームの王様・コントラクトブリッジ」の解説文に隠された謎の暗号。

精神学者・天野は一連の顛末を小説仕立てにしあげて、須藤らに謎の解明を頼む....
感想 いつも逢魔ヶ刻
今度はトランプ。トランプなら流石に私にも判る........と思って読みはじめたんですが。 もう知らない用語のオンパレード。 「日本でいうトランプは本来「切り札」という意味なので、カードゲームというのが正しい」 「一般的に遊ばれてるものは、欧米などでは子供の遊びの部類に入る」
.....でもって物語でとりあげてる....「コントラクト・ブリッジ」なんでも カードゲームの王様で奥が深くルールが簡単だとか.....
...でも、解説よんでも全然ピンと来ない....というか名称すら初めて聞きました。

物語自体は面白いんですが、この辺りで翻弄されたせいか、実は読後疲れました(汗)
中盤のルール覚えるのや、トランプ(カード)解説、結構読むのがメンドウだって人多い と思うんですが、私もそんな一人です。すいません。

カードゲームの世界や、その雰囲気なんかは楽しめたかな....。
後半にある精神病に関する手記みたいな部分はとても興味深く拝見しました。



『[定本] ゲーム殺人事件』 竹本健治 扶桑社 1992/11 ♪:☆☆☆★
作品紹介 愛蔵版ハードカバー
『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』をまとめ、
短編書き下ろし『チェス殺人事件』を追加した豪華愛蔵本。

それぞれ『囲碁殺人事件』解説に中井英夫、『将棋殺人事件』解説に山口雅也、 『トランプ殺人事件』解説に笠井潔。
あとがき他、乾敦さんの「竹本健治という作家について」も。

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