共存できない選択肢

スイッチング電源の制御用ICは、各社から多様な方式のものが発売されています。どれを使おうか、どれを選ぼうか、何に気をつけて選ぼうか迷ってしまいそうです。 そんな中で気になる回路方式と補助機能、そして組み合わせが効かない取り合わせについていくつか紹介しましょう。 ちょうど4ストのバイクにチャンバーを組まないとか、2スト多気筒には集合排気が合わないとか、そういった事例にも似てます。

疑似共振方式で選べない機能
固定周波数:波形のキリのいい時期を見計らって動作するため、負荷率や入力電圧によって動作周波数が変わります。
パルストランス駆動:ゲート駆動信号を切る時期は、ドレイン電流が所定の値に達したことを条件として判断します。 何かの都合でカレントトランスに反応が現れなくなった場合、ゲート信号は出たままとなります。つまり直流を伝えないパルストランスはそのまま飽和し、次のサイクルを迎えることなく停止します。
電流連続モード:フライバック出力を吐き出し終えた後でないと次のサイクルを始められない疑似共振方式では、電流連続モードのフライバックやフォワードコンバータは構成できません。

電流不連続モード力率改善回路で選べない方式
電流モード制御:入力電圧波形をもとに乗算器を使い目標電流波形を設定する力率改善回路では電流モード制御を使います。 ところが、一定時間でインダクタンスにより制限される電流は入力電圧に比例するという特性を利用した電流不連続型力率改善回路ではゲートのオン時間を 均一に保つ必要があります。そのため制御ICは固定周波数の電圧モードICを使い、素子電流検知は異常検出(過電流保護)で 使う程度となります。もしも電流モードのICを使ってしまった場合、入力電流は台形波状となってしまいます。

他にも共存できない機能の組み合わせがあります。電源回路に求められる特性や用途を整理して回路方式と制御ICを選びましょう

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