小説の棚

小説の棚っていうよりは、漫画じゃない本の棚なのですが。
楽しみでは、ほとんど小説しか読まないし。よくないんだけどねえ。「お話」がすきなんでしょうな、僕。

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変革への序章 (上下)

 知性化の嵐1 ハヤカワSF デイヴィッド・ブリン

 知性化戦争、最新版ですよ〜。ファンはかっとけ〜。でも三部作らしいぞ〜。途中で終わるぞ〜。

 てかんじ?3プロットぐらいストーリーが分かれているので個人的には非常に読みにくい。これが上手いのはフレデリック・フォーサイスだと思うのだけれども、あれは大体上下巻の間に話が収束するから面白いのであって、今回は長すぎる。
 とはいうものの、やはり知性化戦争シリーズだけあって非常に面白かったのですが〜

2002.3.12


竜の挑戦 (上下)

 パーンの竜騎士8 ハヤカワSF アン・マキャフリイ

 ドラゴン続きですがパーンの竜騎士です。こっちはなんと、コンピューターが出てきてしまうのです。
 うぇ〜マジ?アン・マキャフリィもヤキがまわったな。とおもうでしょうが、俺の感想から言えばそうでもありません。やっぱりパーンはパーンだったのです。というかだったと俺は思います。

2002.3.12


聖竜師の誓い (上下)

 ドラゴンファーム(3) ハヤカワJA 久美沙織

 なんとなく気になったので、ドラゴンファームシリーズを立て続けに読んでみました。久美沙織の小説を読むのは、初めて??じゃないか。
 このドラゴンファームシリーズはなんつうか、貧窮牧場が復帰するあたりが結構面白いです。ライトファンタジーとしてもそこそこいけている。個人的には、愛らしいドラゴンが可愛くもあり、可愛らしいドラゴンなんざぁドラゴンじゃねえや!爬虫類的冷血さがなぁ、とか飲み屋でくだをまくおっちゃんみたいになっても良いんですが、まあやめときましょう。
 というわけで万人にお勧めの作品。全部読もう。

2002.3.12


ハイペリオン

 ハヤカワSF ダン・シモンズ

 人類が宇宙に乗り出して十数世紀。人類と敵対するアウスターに占領されつつある惑星「ハイペリオン」に最後の巡礼たちが向かう。それぞれの理由を胸に。

 という感じで始まるハイペリオンは、じつはオムニバスなのです。俺てっきり巡礼冒険談とアウスターとのスペオペ話だと思ってましたよ(^^;
 7人の巡礼者にぞれぞれハイペリオンに向かう理由とそのエピソードがあって、それを1個づつ紹介します。書いてしまいますが、そのエピソードを紹介しただけでハイペリオンは終わっちゃうんですね。スゲー残念です。「で、どうなるんだ!!」って感じ(w
 まあ続きは続編「ハイペリオンの没落」でやるようですので、さっさと文庫化していただきたいものです。

 しかし、このエピソード群がすごい。全部話のスタイルが違う。ホラーっぽい秘境探検モノ(ソロモン王の秘宝とか)、SF軍事モノ、宮廷サスペンス(か?)、時を巻き戻る少女(をいをい。感じとしては「アルジャーノンに花束を」ですな。このエピソードは泣けます)、サイバーパンク(ああまさしく「順列都市」)、そしてロミオとジュリエット(というか惑星植民地独立話な。超人ロックの「ロンウォールの嵐」か)
 と、盛りだくさんなのです。そしてどれも晴らしい出来です。ゼヒオススメの一品。っていうか早く続きが読みたい(W

2001.1.3


スリーピング・ビューティ・シリーズ

 扶桑社ミステリー アン・ライス

 一時期残酷昔話がはやりましたが、これはちょっと違います。でもその時流にのって翻訳されてよかったですよ。面白いです。
 ああ、一つだけ注意しときます。これはポルノです(笑
 王子様に呪いを解かれた眠り姫、お話では「王子様とお姫様は仲良く末永く暮らしました、めでたしめでたし」というところなんでが、これは違う。「王子様はサドだったのです(爆
 王子様のお城に奴隷(SM的な意味で)として連れて行かれる眠り姫。その城にはなんといろいろなところから集められた王子王女がやはり奴隷としていろいろなコトを(w
 小説では、王子様では物足りないほどにマゾ道に目覚めてしまった眠り姫がさらなる刺激を求めて冒険の旅路へ。はたして眠り姫を満足させる真の「ご主人様」は見つかるのか!いや全部読んでないんです(あとちょっと

 アンライスが言うには、女性向けのポルノということですが、まあ確かにそんな感じ。えっちいレディースコミックっつーかやおいっつーか。キレーキレーな描写だらけで絢爛豪華なので淑女のみなさんにオススメです。尊敬するタニス・リーほど幻想的ではないですが、逆にいうと地に足着いてるので(意味不明
 やおいと書きましたが、全編ホモネタと言うわけではないので紳士諸君もご安心ください。ただし、ないわけではありません(注意

 そういやヴァンパイア・クロニクル・シリーズを紹介してないな、俺。
 ちょっと小難しいシーンがあったりしてナンなんですが、楽しめますのでまずはオススメです>ヴァンパイア・クロニクル・シリーズ

 それはさておき、ヴァンパイア・レスタトで何回ともなく、というかテーマである「野蛮の園」にとつながるモノがあるのですね、この眠り姫シリーズは。つまり暴力と知性のせめぎ合いというか。
 で、主人公の眠り姫がマゾなせいか、ほかの一人称でしゃべる王子たちも奴隷なせいか、全編通すと「マゾ道入門」というかんじ。もしくは、アンライスの考えるマゾ道とはこうだ!という感じかな?俺はマゾッホは読んだこと無いんでちょっと解りかねますがね(笑


バトルロワイヤル

 太田出版 高見広春

 ウワサの映画化した小説。修学旅行の中学生が殺し合うというショッキングな内容ということだが、結論から言えばフツウの人間書けてるし、カドカワのホラー小説大賞で悪い評判だったということだが、イマドキの厨房はもっとひどいっしょというのが俺の感想である。

 極限状態の人間描写とか、トリックとか結構面白い。三味線糸渡されてもこまるよなあ、必殺シリーズじゃないんだから(笑
 まあアクションはさておく。みんなフツーの中学生でヒーローじゃないんだからね(笑

 環境設定として、日本が未だ戦争状態にある(ちょっとちがうが)のでこういう殺し合いも黙認されてしまうて感じの話があったんだが、もし2次大戦の日本国民の精神状態がつづいたら……
 ちょっと違うだろ、とおもう。

 まあそれより「ロックンロール禁止」の方がテーマとしてはこの作品にとっては重いんだよな(^^;

2001.1.4


ジャガーになった男

 集英社文庫 佐藤賢一

 下で紹介の「傭兵ピエール」より前の作品。ピエールはスゴおもろかったんで、これも即読めば良かったんですが、なんか手に取れなくて。
 今回某雑誌にこの本のことがちらっと書いてあって、思い出して買ってみました。きっと期待は裏切らないんだろうなあと思っていましたが、やっぱぐーです。ぐー。
 今回も西洋歴史小説ってヤツで、伊達政宗が派遣した支倉常長遣欧使節に潜り込めた青年が、30年戦争やって南アメリカにもいって、ってゆー大風呂敷。ですが納得できます。


 今回、主人公はヒーローではないですね。特にピエールと比べると、行動や心の動きがなんつーかヒーローらしくない。んだからある意味面白いんでしょうが。剣術もピカイチで、兵法は孫子を諳んじ、戦国末期のもののふであるのですが、どっか弱い、どっか流される、どっかプライドがない。まあある意味普通の人間ってことなんでしょう。俺の感じ方がすっかり歪んでいるのかもしれません。どうもさっくりさっぱりヒーロー指向が強くなってしまったかも。高校生の頃だともっと手放しで誉めたかもしれませんね、単純なエンターテイメント嫌いでしたから。それとも俺が三十路前だけに、思うところがあるのかもしれません。
 俺はエンディングは嫌いです、なんかおきまりっつーか、それはつまんねいっつーか、納得行かない。エピローグは好きですが。
 個人的にはガスコーニュ人との決闘が笑える。


試練のルノリア

 グインサーガ(74) ハヤカワJA 栗本薫

 3巻飛んでますがもちろん間も読んでます。当然か(w
 んでね、100巻じゃおわんないんだって。やっぱりね。まあ良いんですけど。
 ナリスがすげーまえむきっつーか健康的で今にも死にそうです。が、作者いちばんおきにーだし、こーゆーふーに開き直ってしまった以上、結構しぶとく生き残りそうとは思います。ナリスが生き残ってるうちは終わりは見えてこないでしょうなあ(笑
 一方ヴァレリウスですが、グラチウスややイェライシャとの掛け合い漫才では「元に戻った」感じで「おー生き残るかもしんない」と思いますが、きっとダメなんでしょうなあ。ナリスに引きずられて死ぬんだろうなあ〜死ななきゃ良いんだが(希望)

2000.9.5


嵐のルノリア

 ハヤカワJA 栗本薫

 最近いいペースで出てますね、グインサーガ71巻。71巻かあ、もうすぐ3/4行くんですねえ。あと29巻で終わるんでしょうか?
 でまあ、今回パロがメインなんですが、やっぱど〜もナリスに陥落してしまったヴァレリウスは見るに忍びないですなあ。あの飄々とした風が、陥落してから全く見られないので(もっとも根は変わってない気もするが)、「おまえ変わったなあ」とか高校の友達に言いたくなってしまう感じ。
 つうかグインサーガは高校以来のつきあいでもう10年来です。つうか最近新規ユーザーを獲得してるんだろうか(爆
 「(爆」で思い出しましたがあとがきがたまに(爆 だらけな時があって、う〜ん気持ちは分かるがバカみたいだよ、と自分のことは棚に上げて思ってしまったりして。

2000.03.26

魔物を訪ねて超次元

 ハヤカワFT ロバート・アスプリン

 まあこーゆーのも読みます、ええ。つうかおわんねえなあこのシリーズってのが正直なとこなんですが(笑 いやさっさと終われと言う意味ではなく。
 特に書くことないほど、マンネリ化してるんだなあ。

2000.03.27

坂の上の雲

 文春文庫 司馬遼太郎

 日露戦争の話。実際、開国から日露戦争までは、一つなぎなんだなあ、と解る。前半は個人にスポットが当てられているが、戦争が始まると、ちょっと視点が俯瞰的になってしまって残念。日露戦争でも、結構イカスエピソードはありそうなもんだけど、そういった話が少ないようなないような・・。
 司馬先生自体が作品で何度も語っているように、このころの日本は一番外交が上手かったかも知れない。あと軍隊がまとも。しかし、盲目的な兵隊(しかしそれは軍隊としては正しいことなのかも知れない)がちょっと悲しい。というか、人々の国家に対する意識が今と全然ちがうので読んでて感心する。

2000.01.08

斉藤家の核弾頭

 朝日文庫 ISBN4-02-264218-1 篠田節子

 イラストが面白そう(カワイイ?)だから買ったのね(^^; でも「アタリ」だったんだな。
 近未来で、日本は一度壊滅状態になった後、人間をランクで区別する、カースト社会になっているという設定。ここで、カースト最上段にあるにも関わらず、落ちこぼれてしまった男の家族の物語。でまあ、題名の通り、核も出てきますご安心ください(爆
 書き手が女性だけあって、フェミニズムが見え隠れというか、全面に押し出されているといっても過言ではなく、まあそっちが主旋律で、ほかのSFギミックはサブなんだけど、そのSFギミックが割といいアイデアがあって、非常に引かれます。
 で、読んでてなんか懐かしい感じだったんですが、おそらく70年代日本SF、というかぶっちゃけて筒井康隆の破滅的SFっつうか反社会的SFっつううか、の影響というか同じニオイがしました。まあさすがに当時の流行(だと俺は思うのですが)である「ヒデエ落ち」にはなりませんが、エンディングの「なんだかなあ」ぶりもそこそこ近い感じかも。
 前述のフェミニズムがちょっと古くさく、鼻につくのですが、まあある意味そこはねらっているとも言え、俺が一番初めに引かれた表紙イラストを、全読のあとに眺めていただくと、きっと俺の感じた面白さを共感していただけるのではないだろうかと思います。


傭兵ピエール(上・下)

 集英社文庫 ISBN4-08-747016-4 佐藤賢一

 AOKのフランスキャンペーンをやるに従って、少し百年戦争の資料をあさったのですが、その時買った小説。いわば、西洋歴史小説なのですが、これが面白い。
 百年戦争とえばジャンヌダルクですが、それがメイン。いや、題名通り傭兵ピエールがメインなんだけど。
 このピエールが、かなりイカス男で、それが悲劇になりがちな時代やストーリ展開に、いい感じで清涼感を与えてると思いう。若干、心理描写に対する説得感に欠ける感じはあるものの、小説全体のおもしろさには影響ないでしょう。
 ジャンヌの描かれかたも、納得できるというか、「う〜ん、いかにもそんな感じ」というところで、歴史小説の「重み」に一役買っています。俺はこーゆー女は面白くて好きだな、と思ったし(^^;

 つうわけでオススメの一品。なんせ、買ったその日に上巻は読み終わっちゃって、下巻を買えば良かったと後悔したぐらいだから(爆
 おかげで生活があれましたが(をい まあいつものことなので(をいをい


順列都市(上・下)

原題:PERMUTATION CITY ハヤカワSF1289 グレッグ・イーガン

 これはかなり<ハード>なSFです。物語の序盤は近未来でスタートし、ネットが世界中に張り巡らされた世界で始まります。このネットの「中」で生きている「人間」が<コピー>と呼ばれます。この<コピー>のアイデアが秀逸で、現在のCTスキャン技術が発展し、人の組織を生化学レベルでシミュレートした結果メモリ上に存在する人間シミュレーションが<コピー>として意識を持ち行動しているというわけです。もともとは、難解な手術の前にこのスキャンした人体を使ってリハーサルするというところからスタートしたのですが、脳を精密にシミュレートした結果意識を持つに至ったと云うことらしい。いや、レビューに「らしい」はないだろう、とつっこまれるところでしょうが、この本、ほんとに<ハード>なもんで。理解できない部分もあったんですよ、俺が馬鹿なだけかも知れませんが、だれか俺に解るように解説して下さい>理解できない部分。
 で、そういう<コピー>人間は、肉体を捨てて(ほぼ)永遠の命を持つことが出来ます。たいていが寿命や病気や事故で死ぬ直前に、<スキャン>を行って<コピー>人生を歩みだすんですな。しかし<コピー>たちにも問題がある。
 1つは速度。平均的な<コピー>ですら現世界の17分の1の速度しか持たない。これは、その世界のプロセッサの計算速度限界ってことだったかな?
 もう一つが、電気グループじゃないが、「停電だけが恐ろしい」ってやつ。いや停電は冗談だけど、<コピー>は法律上はソフトウェアであり、世界に登場してから日も浅いため、人権もない。世界のプロセッサの全体量は決まっていて、みんなで分け合って使っているため、どこかで大きな計算(物語上では世界規模の天候シミュをやったな)を行うと速度が落ちて20分の1とか100分の1とかになっちゃう。金持ちは自分のタスクを走らせるだけの金は持ってるから、そんなの問題にならないけど、ビンボー人の<コピー>はもうダメ。ふつうの人でも、コンピュータを使うのにプロセッサ相場を見ている世界なんで、もし、<コピー>が存在出来なくなるようなプロセッサ使用とか行ったら危機というわけ。また、<コピー>人間に人権はナイから(まあ色々手はうってあるんだけど)不安は不安なのね。
 で、この不安な<コピー>たちに、「絶対に安全な環境」を売り込むセールスマンが・・・

 というのが本筋、後は読んでください(爆
 電脳世界のみの住人である<コピー>人間のコピー作成の理論も秀逸ですが、その次に展開されるギミック(というかキモ?)の「塵理論」はカナリアクロバティック。昔ニューロマンサーを読んだときにも、その世界観の新しさにちょっと理解しがかった感じがありましたが、それに近いのかな?
 ちょっとちがうか?