AMANO'S
超・究極のBH
瘋癲狼藉帖
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March ***
2004
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Mar-23-2004
25xs−290V−907iMOS
290Vを導入してから1月半、907iMOSが復帰してから3週間が過ぎました。
前者は、どこを見ても新品同様で、また、かなりの期間使用されていなかったらしく、音も成熟途上で、少しずつ変わっています。
一方、ほとんどバラバラに分解されて組み立て直された後者は、バーンインによる音の変化が著しく、キレ・艶・輝きが増しただけでなく、[ビロードの手ざわり]も感じられるようになってきました。
 
25xsと290Vの組み合わせは長岡先生の最終リファレンスと同じですが、これに先生の母屋でのリファレンスであった907iMOSを繋いだときのバランスは、議論の対象になりそうです。
確かに「屋上屋を重ねたか」とか「ひと月早く907iMOSが修復されたら290Vを手にしただろうか」との反省もあります。
でも、「気になるものがあったら我慢できない」という持病を生かすために、このライナップの長所を探しましょう。
 
大島さん(アクアオーディオラボ)の
「MOSの特徴は高域にあります。だから低域は欲張りません」
との言葉通り、907iMOSの低域の力不足には定評があります。
そこで、290Vの[くそ力]で強引にドライブします。
 
907iMOSにはパワーアンプダイレクト(ダイナミックテストではCDダイレクト)と呼ばれる、プリアンプ部を通らずに、パワーアンプに直接繋がるボリュームに入る端子があって、ボリュームを全開すれば、パワーアンプそのものになります。
しかし、全開にすると290Vの瞬発力を受け止めきれません。
そのボリュームは10時頃に固定しておき、音量は290Vだけで調節します。
 
「907iMOSのボリュームはアマイ音を出しますね。カミソリの刃がアマクなる、という意味でなく、蜜がアマイというそのアマさです。」
「そうです。ある期間、アルプスから納入されたボリュームだけに、なぜかそのアマさがあります。」
「だから交換されなかったのですね。もう寿命かと思っていました。」
「バラして掃除しましたから、まだまだ使えます。」
[ビロードの手ざわり]に通じる秘密がそのボリュームにあったようです。
 
290Vの[くそ力]と907iMOSの[ビロードの手ざわり]の相乗効果が、この組み合わせの妙の一つです。そして、もう一つ。
 
パワーアンプダイレクトにはバランスとアンバランスの入力端子がありますが、バランスの方が、変な表現ですが、低域の非力さが少ない。だから、これまで25xsのバランス出力を使ってきました。
でも、VRDS−25兄弟のアナログはアンバランス回路で、バランス出力はオマケのようでした(25、25xそして25xsの初期まで極性を間違えたりして)。
25xsのアンバランス出力から、バランス回路で構成される290Vを通し、そのまま907iMOSのバランス端子に入れるのがバランス(釣り合い)が取れていると思いませんか。
 
ところで、1月の下旬、[ミューズの箱舟]の会長の前田さんからお誘いがあって、初めて越谷の[方舟]を訪問しました。
感激したこと、感銘を受けたことは多々ありますが、その一つは、いつ先生がお戻りになられてその椅子に座られても、すぐに音が出せるように、在りし日のままの状態で保存されていることです。眼鏡、リモコン、スタビライザー −−−−
ところが、一つだけ見当たりません。290Vです。
どのような事情があったのか知る由もありませんが、きっと戻されると信じます。
 
そのことが頭にコビリついてしまったのでしょう。290Vを購入したのは、その2週間後のことです。
 
Mar-10-2004
907iMOS 甦る
オーディオアクセサリーの最新号(2004年春112号259ページ)に紹介されている大島さんから
「お預かりの907iの修理、OHを終わりました」
とのメールを頂きました。
 
大島さんのアクアオーディオラボへは、拙宅から約8キロ、クルマで20分足らず。
いそいそと、駆けつけると、この小さなスピーカーが静かに鳴っていました。
ボリュームの位置を見ると8時位。
 
「交換したのはスピーカーセレクターのリレーとアンバランス入力端子だけです。
MOSの音に戻りました。先ずは、お宅で使ってみてください。」
 
そそくさと、持ち帰って、百論は一聴に如かず。
最初に出た音に参りました。
290VをVRDS25xsと907LTD改の間に挟んだときより、変化は大きい。
長岡先生のお言葉では
「メインダイレクトで聴くCDの音は抜群で、実に鮮度が高く、パワフルで切れ味鋭く、しかも繊細で艶と輝きがあり、雰囲気が良く出る。クリスタルガラスの透明感と、ビロードの手ざわりを持った高級マニア向きのサウンド。音場も3次元的に広い。」
とのことでしたが、
「ビロードの手ざわり」はイマイチとしても、その他の907iMOSの特徴は見事に甦っています。
サンスイアンプの音を創られていたプロの凄い耳には、真に畏れ入りました。
 
天板と底板を外すと、16年間の通電で年増の唇のように赤茶けた銅板が磨かれて、乙女のそれのように鮮やかに明るく輝いています。パワーMOS FETや整流ダイオードも取り外されたのでしょう、純白の熱伝導ペーストが柔らかい。
オーバー・ホールをどこまで徹底されたか分かりませんが、サンスイアンプ設計者の入魂の技を垣間見ます。
 
このままで半年位鳴らし込んでから「ファインチューニング」もお願いしましょう。
そこからは、未体験ゾーンです。
 
そうそう、ラボには、こんな懐かしいアンプも修理を待っていました。
 
 
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