ステレオスピーカーの時間軸(位相)を揃えるには、各スピーカーの音源の中心を通るバッフル面に垂直な直線が一点で交差し、かつ、その音源の中心から交点までの距離が等しいことが必要条件です。
[SPセッティング*簡便法]では、音源の中心を床面に鉛直に投影し、これを基点とすることから始めます。
1)床に、各基点を結ぶ直線を底辺とする二等辺三角形を作る。
2)この二等辺三角形の斜辺に直交し、基点を通る直線を引く。
二等辺三角形の底辺や斜辺の長さ、並びに、位置は、部屋の条件やスピーカーの特性、リスナーの好み、などによって変わりますが、基本は上記の2点です。
さて、床に二等辺三角形を描くには、各頂点の位置を示すマーク(ピンや錐、釘、マスキングテープなど)と斜辺の交点を求める巻尺があれば、十分です。
そして、斜辺に直交する線を引く方法といえば、小学生時代が懐かしい、三角定規ですが、この簡便法では、長尺が50cmの曲尺を使います。
短尺に沿ってマスキングテープを貼り、これに平行にスピーカーの前縁を揃えます(音源の中心は基点の鉛直線上)。
これで、音源は所期の交点に正対します。
次に、さらに簡便な方法を紹介しましょう。
天板の中心線に合わせて曲尺を乗せます。
続いて、利き目となっている片方の目を斜辺の交点の鉛直線上、曲尺の高さに置き、短尺の縁だけが見えるように、ハコの角度を調節します。このとき、下段の前縁の中心は基点にキープします。
(SUT−200では、10KgをこえるFE208ESを取り付けた上段を外すと、一人でセッティングできます。腰を痛める恐れが少ないのも、セパラブルの長所の一つと、改めて認識しました。)
交点からレーザーを照射すると、このように、ピタリと正対していることが確認できます。
さらにその上に、曲尺も使わずに、目視だけで正対させる方法もあります。
中段前面で覆われた下段の天板を見ましょう。左右が対称に見えれば、正対しています。
恐るべし、人間の目。3m先の3mmのブレも感知します。
ボディーの水平断面が楕円や卵型のスピーカーのケースも難しくありません。
その長径を斜辺上に合わせ、基点の真上に音源の中心を乗せるだけです。
SPセッティングをテーマとした狼藉帖は、ここで一段落としましょう。
SUT−100と200は、結局、このようなカタチで落ち着きました。
SUT−100では、一辺が200cmの正三角としました。SUT−200は前回のままです。