担保ない銀行に貸すノー天気。毎日新聞の人気欄「仲畑流万能川柳」の2003年1月9日付けで載った“さいたま 貸話屋”さんの佳句である。
早朝ポストからとり出した新聞を持ってベッドに逆戻り。ねむけ眼で紙面を眺めていてこの句に出会い、目が覚めたというか、目からウロコというか、その指摘の鋭さに思わず唸った。長い間、銀行は潰れたりしないもの、家に置いておくと危険度が高いから大事な金品を預かってもらうところ。そんな認識を持ってきたが、最近の銀行にそんなイメージは全く当てはまらない。これではかねてから巷間で囁かれていたように、“ネクタイを締めた強盗”という過激な言い回しが真実味を帯びてくる。
数年前にA銀行のキャッシュ・カードにひびが入ったので取り扱い銀行だった四谷支店に出向くと、消費税込みで1,050円いただきます、と言われてびっくりした。カードを紛失するとか、落ち度が自分にあるならいざ知らず、ひびが入ったのなら無料で取り替えるのがスジだと思うから納得できず解約した。それから1年ちょっとでめでたくその銀行の四谷支店が閉鎖になったときはさもありなん!と思ったものである。そしてつい先日のこと、今度はいま付き合っている銀行の法人用キャッシュ・カードにひびが入り、スタッフに銀行に行ってもらったら今度は消費税込みで2,100円也。もう文句を言う気にもならない。たかがキャッシュ・カードの再発行にそんなに手数料を取るというなら、少々寒いぐらいでヒビが入るようなシロモノは作るなよ。それにどこをどう押したら2,100円になるのか情報開示してもらいたいものである。
それにつけても、いままで銀行はお金を預けるところだと思っていたが、そんな古い価値観は一日も早く改めないとひどい目にあうことになりかねない。公的資金などと分かりづらいことを言って、つまりは国から税金を投入してもらっておきながら、ペイオフとやらになったら元金1,000万円までしか保証しないなどと、盗人猛々しいことをほざいているヤカラの集団である。本来中小企業に回すべき数兆円だかの資金を貸ししぶったり貸しはがしたり当局の指導を受けている不届きな銀行もある。要するに、銀行側はいわゆる小中規模の利用者など顧客とはまるで思っていないわけだ。まさに冒頭の句のように、ぼくたちは「担保ない銀行に貸すノー天気」をやっていることを肝に銘じるべきであろう。
先日もある人が某銀行のことをかってに「ウンコふんじゃった銀行」と呼んでいるという書き出しで、その悪徳ぶりを書いていて、ぼくは共感した。なんでも休日にどこかへ送金したそうだが、いったんは「お引き受けした」と器械の画面に出たのに、休日明けに銀行から電話があって相手の振込先が不明確で送金できないと言われたそうだ。ところが送金手数料と送れなかったお金の返金料をとられて、大憤慨というわけである。彼氏いわく、送れなかった金はそのまま器械のなかで休日を過ごしたわけだから送金も返金もヘッタクレもないというわけである。これは正しい、じつに完璧な指摘である。こんなことをやっているウンコふんじゃった銀行は早晩潰れるに相違ない、と予言しておこう。ぼくから2100円もふんだくった不届き銀行から「カードが出来ました」という通知が来たが、文面に勝手ながら1月31日を過ぎると破棄しますとあって唖然とした。金融庁はそんな銀行の馬鹿どもに一からサービスとはなにかを教えてやる必要があるよと言いたい。それに銀行&信金ウオッチャーのようなボランティア組織を立ち上げ、年に2度ほど各銀行&信金のサービス度・信頼度・不快度などを調査し、「預けては行けない銀行&信金」とか「出入りしない方がいい銀行&信金」を公表するというのはどうだろう。どこかの週間誌さん、この企画に乗りませんか?! |