家電界の暗黒の支配者
ブレーカー。
表舞台には姿を現さないものの
彼に逆らえる家電は誰もいない。
彼の前では表舞台の王様"テレビ"でさえも
子供同然である。
彼の機嫌を損ねた家電は、その機能を失い
やがて家電界から抹殺されるらしい。
まさに最強である。
ただ、歴史的には、
彼のあまりにも傲慢な支配に
業を煮やした家電たちが結束し、
自分たちの命と引き替えにして、立ち向かい、
独裁政権を終わらせた例は多々ある・・・。
賑やかな町並み。
明るい光。
一見、平和そうに見える家電世界。
しかし、ブレーカーの圧倒的な支配の下、
皆、怯えて暮らしていた。

そんな、支配から逃れるべく、
テレビさんをリーダーとし、家電たちは立ち向かっていった。
ブレーカーを倒すことは、同時に
自分たちの死を意味することを知っているにも関わらず・・・。

戦いは始まった。
テレビさんは先頭に立ち、皆を指揮し、
スピーカーさんは、その音量を上げた。
掃除機さんは、声の限りに叫び
照明さんは、最大限に光り輝いた。
家電たちは皆、もてる限りの力を出した。

自由になるために・・・。
その時は、やってきた。
ブレーカーは、嗚咽の声とともに崩れ落ちた。
と、同時に家電たちは一つに重なり合うように、力尽きた。
テレビさんは、薄れゆく意識の中で、最後に呟いた。
「これでよかったんだ・・・」と。
それは、自分についてきてくれた他の家電たちへの労いの言葉だった。
僅かながら、余力を残していた携帯電話さんは
戦友の元に歩み寄り、布団を掛けた。

そして、その中に横たわり
自らの手で、バッテリーを外したのだった・・・・・。
家電たちは、一つになって永遠の眠りについた。
その表情は、安らぎに満ちていた。
そして、頬には一筋の涙が流れていた。
エピローグ
荒れ果てた町並み。
無限に広がる漆黒の闇。
戦いの傷跡が家電世界を覆っていた。
そんな闇の中に一筋の光が射し込んだ。
「あーあ、またよく寝ちゃったなぁ。今、何月かなぁ」
「あれっ、なんかあったの?」
「みんな、どこ行っちゃったの?」
そんな戦いがあった事など、全く気づかずに寝ていたのは
懐中電灯さん!!。

こんな懐中電灯さんがホントの最強かもね!!。
それとも、そんな懐中電灯さんを癒してあげられる
電池さんが最強!?。
そんな、懐中電灯さんと電池さんにより
新しい家電ワールドが始まるのである。
家電占い END
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