信仰を無くした元牧師グラハム・ヘスの畑に突如出現したミステリーサークル。 そして、怪しい気配がヘス一家を脅かしはじめる。
しかしそれは彼の家だけの現象ではなかった。 ミステリーサークルは大陸規模で同時に数百ヶ所に出現したのである。 メディアはこぞってこの怪現象を報じ、様々な憶測が飛び交う。
これは手の込んだイタズラなのか、それともマジもんなのか。 どうしようもない不安にさいなまれるヘス一家。 この異様な状況の中でグラハムは、信仰を喪失した後に空いた心の穴と対峙せざるを得ない。
やがて訪れる危機。 ヘス一家の運命は。
妻の交通事故死をきっかけに信仰を無くした牧師が怪奇な事件に巻き込まれて……という話と言えば、思い出すのは「フロム・ダスク・ティル・ドーン」だが、本作のほうが「ジワジワ」という雰囲気。
面白いのは、ミステリーサークルというもはやトンデモ扱いの宇宙人ネタと、人間の信仰心とか奇跡とかというミステリーサークル以上に古くからあるネタ、この水と油のような組み合わせをうまく料理して、一つのまとまりあるドラマに仕立てあげているところだ。
SF的な題材を使いながらも、宇宙がどうとか世界がどうとかいうスケールでは展開せず、むしろ極めてローカルな人間ドラマ、家族ドラマとして進行するのである。
世界が危機にさらされるような事態になったときには、きっとこんなドラマが世界のあちこちで起こるんだろう。
そんな無数の小さなドラマから一つを取り上げたような映画だ、と思いながら観た。
それにしてもシャマラン監督って、既存のジャンル分けでどこに当てはまるのか分かりにくい映画を作るもんだな。
ただ、素材の扱い方には割とストレートなところがあるような。
「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」
と言うが、シャマラン映画で枯れ尾花に見えるものは大抵ホンモノの幽霊だね。
2002-11-05