今日は9と3の日だから。

 

 

あなたは気に入ってくれるかしら
何か言ってくれるかしら

 

今日、初めて袖を通すこの服。

バレエの友達と一緒に出掛けた時、つい買ってしまったワンピース。
淡いピンクがとても可愛くて。
はっきりとした着るあても無いのに、買ってしまった。

 

その後しばらくは、防護服を着る毎日だったから、すっかり忘れていた。
この服の存在も。

買ったのは初夏だった。

けれど月日は流れて今は初秋。

時期外れかしら
少し寒いかしら

懸念したけれど、今日は朝からよく晴れて少し汗ばむくらいの陽気。

思い切って着てしまおう。
今日着ないと、次はいつ着られるかわからないから。

 

全身を鏡でチェック。
くるんと一回転。

・・・うん。大丈夫。

 

 

「ジョー、お待たせっ」

ストレンジャーに寄りかかり、ぼんやり海を眺めていた彼はゆっくりと身体を起こした。

「遅いよ、フランソワーズ」

 

一瞬、間。

 

瞳をちょっと丸くしてすぐ細める。

 

「・・・どうかした?」
やっぱり変だったかな。この格好。
デートって訳でもないし。
ただ、買出しに行くだけなのに。

「あ、ウン・・・」
視線を彷徨わせ、ぼそぼそ呟く彼。

「・・・可愛いね。その、服」

少し照れたように。

 

「・・・と、君が」