そんなわけで、ジョーはフランソワーズにくっついたまま離れなかった。 くっついたままのジョーからフランソワーズが少しずつわけを聞きだし、それを仲間に伝えたので全員が納得したのだが、それにしても。 「アイツ。口では「僕たちは別に」とか何とかすかしたこと言いやがるくせに、いざとなったらこれか?」 フランソワーズを抱き締めたまま離れないから、フランソワーズはリビングのソファにずっと座ったままだ。 「それにしてもフランソワーズも災難だなぁ。あれじゃあ、おちおち本当に誰かに心変わりもできやしねえ」 そうしてリビングの戸口から若い二人を振り返った。 「・・・嬉しそうだな」 ジョーはフランソワーズの膝に頬をすりよせ目をつむっている。 「・・・まぁ、いいんじゃない。フランソワーズのあんな顔、そうそう見られないし」 口では困ったわ、まったくもうジョーったらと繰り返しているものの、どこか嬉しそうなフランソワーズ。 「熱いねぇ」
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もしもきみに恋人ができたら。 僕の他に、好きなひとができたら。
いつか僕は、きみの本当の相手にきみを渡さなければならない。
――そう、思っていたけれど。
ごめん。フランソワーズ。
無理。
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