「カット!!」

 

グレートの声が響く。

「ああもうっ!カットカットカーット!!」

フランソワーズを抱き締め号泣しているジョーの元へ凄い勢いでやって来ると、
丸めた台本で彼の頭を殴る。

「いい加減に、しろっ!!」

いらいらと腕組みをし、それでもまだ泣いているジョーを睨みつける。

「――ったく。何度目だ、ええ?」

5回目よ、グレート。と小さい声でフランソワーズが言う。が、もちろんグレートには聞こえていない。

「いいか。よぉーく聞け」

ジョーの両肩を掴み、無理矢理フランソワーズから引き剥がす。
が、離れない。
見ると、フランソワーズもジョーを抱き締めぴったりと寄り添い、離れるものかと頑張っている。

「フランソワーズも、だ!」

しぶしぶ離れる二人。けれど、繋いだ手は離さない。

「いいか。ジョー。フランソワーズ。

あのな。

これは、『芝居』 だっ!!」