目が覚めたらジョーはいなかった。
いつもの夢だ。
未練がましく手を伸ばすのはもうやめよう。冷たいシーツが待っているだけだ。
私は目をぎゅっとつむったまま丸くなってシーツのなかに潜り込んだ。
――心臓が早鐘を打っている。
違う。
――不意打ちが得意なひとだった。
違う。
冗談じゃない。
まだ朝じゃない。目覚めたっていいことなんかひとつもない、大嫌いな闇が待っているだけ。
起きてたまるもんか。
そう思っているのに、鼓動がうるさくて眠れない。
汗が滲む。きっと私は病気なんだ。その証拠にほら、なんだかくらくらしてきたし……
「やあフランソワーズ。大丈夫かい?」
――きっと幻聴、よ。