セプテンバー・ヴァレンタイン

 

 

「僕と君は、たったいま別れたんだから」
「ジョーは別れてもいい、って思ってるの?」
「・・・それは。フランソワーズが」
別れたいって言ったから。

「だめ。人のせいにしないで。『アナタは』どう思っているの」
「そりゃ・・・」
別れたいわけ、ないだろう?

・・・これは、夢、なんだよな?
夢、だよね?

今度はフランソワーズの頬をむにーっと引っ張ってみた。
「いたた」
・・・痛い?
「何するのよジョー」
ぷうっと頬を膨らませる。・・・可愛い。
「痛かった?」
「痛いわよ」
て事は・・・夢じゃなくて、現実?

これは現実?
夢、じゃ、なくて?

え。

現実に、フランソワーズは僕と別れたいと言ったのか?
そして僕は、そうとは知らずに同意して・・・

ちょっと待ってくれよ。

混乱している頭で考える。

そうだ。
だったらどうして、自分で別れを切り出した君が泣くんだ?

「嫌だ」

だって、嘘だろう?

何かの冗談だろう?

君がそんな事を言うなんて。