セプテンバー・ヴァレンタイン

 

 

 

9月14日。
僕はこの日を一生忘れない。

 

 

 

「ジョー?ちょっといい?」
その日の朝、リビングで食後のコーヒーを飲んでいる時にフランソワーズに呼ばれた。
「なに?」
「・・・ここじゃ、ちょっと」
他の仲間の視線を気にしている。
一体、何だろう?
「じゃあ・・・部屋に行こうか?」
「ええ」
ほっとした表情を見せる。・・・うん。今日も可愛い。
何となく頬が緩んできて、彼女の後から階段を昇る間もひとりにまにましていた・・・と、思う。

フランソワーズの部屋は、何度訪れてもいつも長居してしまう。
落ち着く・・・というか。ほっとする・・・というか。
だって、君の香りがするし、全部「君が選んだ君の好きな物」なんだよ?
まるごと「君」なんだからさ。

「話ってなに?」

窓辺で海を見ているフランソワーズの背中に問いかける。
すると彼女はゆっくり振り向いて言った。

「別れて欲しいの」


え?
なに?

「私、もうアナタと一緒にいるの、疲れちゃった」

・・・フランソワーズ?

「だから、もうやめたいの。・・・終わりにしましょう。私たち」