「・・・009?」

微かに聞こえる僕を呼ぶ声。
そして、腕の中で身じろぎする気配。

思わず腕を緩め、そっと彼女を見る。

・・・生きてる。

「降ろして」

僕の腕から逃れようともがいている。

・・・動いてる。

・・・喋ってる。

僕はただ馬鹿みたいに彼女の顔を見ていた。

「ジョー、降ろして」
「あ、うん」

そっと彼女を地面に降ろす。

・・・自分の足で立っている。

そうだ、頭に怪我は?
ビームが直撃して、気を失って・・・・。
思わず003の額に触れる。

何ともなってない。傷ひとつついてない。

頭頂部に触れる。

・・・何ともない。
血のひとすじも流れてなどいなかった。

「・・・ジョー?」
「良かった。無事だね」
「ええ。・・・ありがとう、009」

にっこり笑う003を囲み、仲間もやっと笑みを洩らす。

でも。
何かが違う。
違和感が残る。

・・・何だろう?