やっぱりそうだったんだ。
だから、僕なんかからは貰いたくないんだ。
部屋に戻り、ひとり暗闇の中で考えていた。
そうだよな。
好きな人、って・・・きっと凄く好きだったんだろうな。
だから、今でも同じカチューシャをずっと身につけていて・・・。
・・・誰だろう?
いま好きなひと、ではないのは間違いないだろうけれど。だってそれは僕なんだし。
いや、待てよ。
・・・・違うのかな。
いまでも好きなひと、なのだろうか。
確かに、フランソワーズにピンクのカチューシャは良く似合っているし、可愛いと思う。
だけど、彼女にそう言った奴がずっと前に居たということで・・・
フランソワーズは、今でも好きなんだろうか。そのひとのことを。
だから、いつも同じのをしているんだろうか。
そんなことはないよね?もう、過去の話だよね?
・・・いや、違うのか?
昼に僕が誘ったのに断ったのは、他のは要らないからで、つまりは僕の知らない誰かをまだ好きだということで・・・
つまり、そういうことなのだろうか。だとしたら、僕は・・・
まったく、本当に鈍いな僕は。
そっと膝を抱えて座り込む。
もし、僕が別のカチューシャを指して、これが似合うよって彼女に言ったら、そうしたら・・・
フランソワーズはそれをずっと身につけていてくれるのだろうか?
誰にプレゼントするのかな。
夜になって、ひとりになると考えてしまっていた。昼間のこと。
ジョーが誰かにプレゼントをするなんて。
会社のひとかしら。
お友達。
それとも、たくさん買って、キャンペーンガールのひとたちに配るとか。
あれこれ思いつく限り挙げてみるけれど、やっぱり行き着く先はただひとつ。
恋人へのプレゼント。
・・・ジョーの、恋人。
それは私じゃなかったのかな。
てっきりそうだって思っていたけれど、私ひとりの勘違いだったのかな。
それとも、他に好きなひとができた・・・とか。
ジョーに、好きなひとができた。
考えただけで胸が痛くなった。
だって。
そんなのイヤ。
ジョーが誰か他のひとを見つめるなんて、そんなのイヤ。
・・・でも。
私がどうがんばっても、どうしようもない。こればっかりは。
ジョーに好きなひとができた。
考えただけで、足元がゆらゆらしてくる。世界がぐらつく。
だけど。
ジョーがそうなら、仕方のないこと。
・・・選ぶの、手伝ってあげたほうがいいのかな。
そうすれば、ジョーは喜ぶ。
私は、ジョーが幸せな気持ちになるなら・・・それで、いい。