もし、僕たちが離れる事になっても、何も心配することはない。 だって僕たちは――いっとき離れたとしても、必ず未来のどこかで再び出会えるのだから。
もし、そのときお互いがお互いを忘れていたらどうするのか、って? そんなの、簡単だよ。 だって僕は――僕たちは、出会えば必ずまた好きになる。 きみは違うの?
それでも彼女は不安そうで、中々納得してくれなかった。 「大丈夫。怖くないよ。必ず会えるって決まっているんだから」 離れても、また出会えばいい。 もう会えないかもしれないなんて、そんなこと考える必要もない。 大丈夫。 だいじょうぶだよ、フランソワーズ。
僕は何度も何度も繰り返した。 「だから、平気だよ。――フランソワーズ」
***
我ながら、よく言ったものだ――と、思う。 あの日から、いったいどのくらいの時間が経ったのだろう。 ・・・全く。 何度も試してみた。
***
『――わかったわ。じゃあ、泣かないでいるから、必ず私を見つけてね?必ず会えるなら・・・その日を楽しみにして生きていけるわ、きっと』
『でも、もし万が一、あなたが私をわからなくなっていたら・・・』
『・・・その時は、私があなたを見つけてあげる。だから、心配しないで。もしあなたが全ての記憶を失っていても、私が全部憶えているから』
『見つけられなくてもいい。忘れてもいいの。心配しないで。私がちゃんと――見つけてあげる』
***
僕は何も心配しなくていい。 だって、フランソワーズが必ず見つけてくれるから。 でも
僕はきみを忘れたりなんてしない。
|