花火大会会場に着いて、適当にこの辺かなと陣取った。 「……もっと暑いかと思ったんだけど、良かったわ」 フランソワーズはそう言いながらハンドバッグから扇子を二つ出した。 黙って、二人、ぱたぱたと扇子で仰ぐ。 「……良いですかー? 5・4・3とカウントを始めたら、一緒にカウントしてくださいねー」 アナウンスの声が響き渡る。 「5!・4!・3!……ですよー? 良いですかー?」 つい、本番だと思って、カウントに釣られたらしい、ひと組のカップルが顔を見合わせて、くすくすと笑った。
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次々と上がる花火に、周りから、おお、とか、きゃー、とか歓声が上がる。 こどもみたい。 そう思った。 こういうのが好きなら最初から来ればいいのに。 もう一度言いそうになった。 が。 ジョーのあまりに楽しそうな姿にフランソワーズは負けた。 良いわ、もう。 フランソワーズは花火を楽しむことにした。
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