ジョーは飛行機を全てキャンセルして――全く、ガセネタだったらどうしてくれよう――大急ぎでサーキットに向かった。 しかも、勝利の女神が来てる、だって? 勝利の女神。つまり、フランソワーズがここ日本の、しかもサーキットに現れたということだ。 ジョーの心中は複雑だった。 やはり――性質の悪い冗談、か?
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息せき切って戻ってみると、スタッフは彼の顔を見るなり無言で休憩室を指差した。 そこには、ソファにもたれて眠っている様子の金髪の女性がひとり、いた。 ジョーはそっとドアを閉めるとソファに近付き、改めてその女性をじっと見つめた。 ジョーは隣に腰掛けると大きく息をついた。 ・・・全く。いったい、何故ここにいる? 日本に来るなんてひとことだって聞いていない。知っていたら、自分はここで待っていたのに、あやうくすれ違うところだった。 「・・・フランソワーズ」 小さく言って顔を覗きこむ。が、どうやらすっかり眠っているようだった。 ジョーは口元に笑みを浮かべると、上着を脱いでソファに身を預けた。
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