フランソワーズはあっけなく見つかった。 焦って部屋を飛び出した僕は、小一時間ほどあてもなく街を彷徨い――意気消沈して帰った。 「アラ、ジョー。どこに行ってたの?」 コーヒーの香りとともに蒼い瞳に迎えられ、僕はただ呆然と突っ立っていた。 「どこ、って・・・」 フランソワーズの様子に変わったところはない。 「――あの、フランソワーズ?」 コンビニ・・・。すれ違いか。 「どうかした?」 一瞬、蒼い瞳が煌いて――僕が彼女の瞳を捉えた時には、フランソワーズはキッチンに消えていた。
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う。 何だコレ。 僕はフォークの先と、目の前にいるフランソワーズとを交互に見つめた。 「――どうかした?」 首を傾げ、にっこりと笑っているフランソワーズ。今日も綺麗だ。 「どう、って・・・」 好きだけど。 だけど、これって。 けれどもフランソワーズは僕に構わず、すました顔でコーヒーを飲んでいる。 「あの、コレ」 え。 これを・・・全部? 「ジョーのために作ったのよ?」 何しろ、甘かった。 なんとかコーヒーで流し込んでいると、フランソワーズがカップを置いてポツリと呟いた。 「・・・そういえば、ファンタリオン星って、いまどうなっているのかしらね」 何? 何だって? するとフランソワーズはつ、と顔を上げて 「気になる?」 と、笑顔で言った。 笑顔で。 ・・・笑顔。なんだけど。 なんだか怖いよフランソワーズ。 「気にならないよ別に」 そうかしら、って、一体何を根拠に。 「手が止まってるわ。ちゃんと食べてくれなくちゃイヤよ?」 僕は、アリもギブアップしそうなくらい甘いホットケーキを口に入れた。 「・・・じゃあ、無意識なのね」 小さく言って頷いて、そうして再び僕をじっと見つめた。見張るみたいに。 「王女の名前って何て言ったかしら」 ホットケーキ相手に苦戦していた僕は手を止めて、視線をテーブルに落としたフランソワーズを見つめた。 「だって、今朝言ってたもの」
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