3月3日は3がいっぱい?
3×3 ?
「あら、そのネイル素敵ね」 昨夜初めて塗ってみた新色をほめられ、スリーは微かに頬を染めた。
当方は何かと忙しくて困る。 今朝だって、新しい香水をつけたらそれって新作だよねだの、誰に貰ったんだだの、うるさくつきまとわれた。
スリーが心配そうにこちらを見ている。 「えっ?」 声にでちゃってたかと反省しつつ、肩を竦めながらそっとカフェの外に視線を向ける。 カフェの外の通りを渡った向こう側。 「まったくもう…ストーカーなんだから」 そう言いつつどこか嬉しそうな超銀フランソワーズである。 だが、スリーは知らない。 自分がプレゼントしたネイルをつけて出掛けたスリーがどこで誰と会うためなのかつきとめるため、ナインがいままさにこの界隈に潜伏していることを。
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「ああもう。新しい靴なんて履いてくるんじゃなかったわ」
「そこらへんに何かサンダルとか買いに行く?」 しかしREフランソワーズは腰を浮かせる風でもない。 「ねえ。新しいハイヒールってどう思う?」 REフランソワーズの足下をちらりと見て 「いいじゃない。似合ってるわ」 それ以外にどんな反応が?と訝しく思っていたら。 「それで僕を踏んでくれっていうのよ…あのバカ」 大体、踏むといったってどこをどれくらいの強さで踏むのかわからない。 「あら、踏んだらいいじゃない」 えっ? すました顔でコーヒーに口をつける原作フランソワーズ。 「本人の希望なんでしょう」 カップを置いて、原作フランソワーズがコロコロ笑う。 「ジョーが変態じゃないなんて、そっちのほうが異常だわ」 自分たちも長い付き合いだが、三十年の空白は長かった。
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「でね。それを見て自分達がそうなったらどうしようって思ったらしいの」
今日は久しぶりの女子会である。 003同士で会うというのは簡単なようで実は難しい。あくまでも「女子会」なのだから、女の子だけの集いなのだ。 「そのドラマって、あれでしょう。月9の」 そうしてお互い目と目が合って、曖昧に笑った。そう、笑うしかない。 「登場人物がキスしようとしたら、お互いに別の人としてしまった…って、…ねえ?」 たまの女子会。 楽しみにしていたのに。 二人揃ってため息をついて、かなり離れた席にいる他の四人の003を見た。 「ほんとにもう…ただのドラマでしょう、ジョー」 落ち込むの長くない?と、新ゼロフランソワーズは隣を見た。 「そうだよ、ただのドラマじゃないか」 ね、フランソワーズ?とにこにこしながら隣を見る赤褐色の瞳。 「ね、フランソワーズじゃないわよ。だったらどうしてあなたがここにいるの。今日は女子会って言ったじゃない」 にこにこと隣に座っているのが当然のような顔をしているのは平ゼロジョー。ホットチョコレートにトッピングされていた生クリームが鼻の頭についていて、平ゼロフランソワーズに鼻先にキスされ赤くなっている。 なぜ彼はここにいるのか。 話の流れからみれば、おそらくジョーと同じ理由だろう。 どちらもやっかいよね。 新ゼロフランソワーズは思いながら、まあでもそのくらい手がかかるのがジョーよねと、握りしめた手にそっと力をこめた。
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