「ただそれだけの、片思い」
ジョーが好き。
ただそれだけなのに。
本当は、もっと早くに伝えられるはずだった。
だって、気持ちは言葉にしないと伝わらないし、何より――自分ひとりで抱えているにはこの想いはあまりにも大きくなってしまって、
どうにも苦しくて仕方なかったのだ。
何度も言いかけた。
好き
って。
でも、未だにそれをちゃんと言えずにいる。
いつも――言う機会を逃してしまう。
それはおそらく、闘いの最中のせいもあっただろう。
ジョーには、彼を頼る女の子がいつもそばにいるのだから。
――どうしてそれは私じゃないの。
そんなことまで思ってみたりする。
そんなの、私は003だからに決まっているのに。
003だから、一人でも大丈夫。
ちゃんとわかっている。
なのに。
私は時々、彼を頼る女の子たちに意地悪になってしまう。
ジョーがあなたに優しいのは、トクベツだからじゃないのよ。彼はみんなに優しいんだから――
――勘違い、しないでね?
でも、そんな意地悪を言ったところで、胸の奥がすっとするはずもなかった。
深い自己嫌悪に陥るだけで、こんな私の心の中を彼に覗かれたら私は間違いなく彼に嫌われるだろう。
そう思うと怖かった。
でも。
やっぱり、彼の腕に守られる彼女たちがうらやましくて、妬ましくて。
――誤解しないで。彼が優しいのは、あなただけにじゃないのよ!
そう言いたくてたまらなくて。
だって、みんな――誤解するから。
ジョーが優しいのは自分のことが好きだからなんだ、って。
優しいだけなの。彼は、誰にでも優しいの。
――だから。
私の事を優しく見るのも、甘えたように名前を呼ぶのも、全部――嘘なの。
誰にでもそうするのよ、ジョーは。
だから、私も――勘違いしては、いけない。
・・・でも。
もし、「好き」って言ったら。
ジョーはどんな顔をするのだろう・・・?