「花霞」 

 

 

 

 

桜の花びらが舞う。

夜空に舞うそれは幽玄で――漂う花の香りすら神秘的だった。

 

 

手を繋いで夜桜見物をしていた。

時々、立ち止まって。

桜の花、ひとつひとつを指差して一緒に見た。

 

あなたの瞳に映る桜。

桜を見上げるあなたの横顔。

 

いつしか私は――桜よりも、あなたのことばかり見ていた。

あなたは私の視線に気付くと、照れたように少し笑って・・・そっと私を引き寄せた。

 

 

舞う、桜。

香りたつ花の匂い。

あなたの髪に降る、花びら。