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だけどやっぱり、壊してしまうのが嫌で、日本に帰ってからもずっとつけていなかった。
そんなある日、パリから荷物が届いた。兄からだった。
開けてみたら、ピンクのカチューシャがたくさん入っていた。
多少、ピンクの濃度や色合い、ツヤは異なるけれど、同じブランドの同じデザインのカチューシャだった。
中には手紙が入っていて・・・読んでいるうちに泣いてしまった。
だって、お兄ちゃん。私がどうしてもらうのをしぶっていたのか、ちゃんとわかっていた。
だから、壊れても心配ないよ、って同じものを支店から取り寄せてもらって、いま手に入るだけのありったけを送ってくれたのだった。
戦っていても、きれいにしている私がいい。って。
おしゃれ好きなお前が、おしゃれを我慢しなくてもいいんだぞ、って。カチューシャくらいなら邪魔にならないんだから、って。
そして・・・
お前がさらわれた時、助けてやれなかったけれど、代わりにいつもそばにいるから安心しろ。
俺はいつでも、誰よりもお前を一番に助ける。それだけは忘れるな。
遠くても、お前をいつも守っている。

そう、最後に書き添えて。

 

 

あのミッションの時、もしカチューシャをしていなかったら。
カチューシャに当たっていなかったら。

私は、ビームに頭を射抜かれてあの時に死んでいた。

割れたカチューシャ。
だけど、きっとあの時守ってくれたのは・・・

 

 

兄からもらったピンクのカチューシャは、まだまだたくさん箱に入っている。
もういい、って何度言っても、入荷するたびに送ってくる。
それは、嬉しいけれど半分だけ哀しい。

ごめんね、お兄ちゃん。
一緒に居なくて。

ごめんね、心配かけて。

でも、私は幸せだし、泣いてないから安心してね。
大好きなお兄ちゃん。