きっと君は、僕が本当はどんな人間なのかを知ったら、僕の前から去るだろう。
君をひとりじめしたくて、君をとりまく全てのものに嫉妬している僕。
君の世界を僕しか見えないようにしてしまいたいと願っている僕。
そんなのが僕の本当の姿だなんて、知らないよね?
勘違いでもいいから、君が僕だけを好きでいてくれるにはどうしたらいいのだろう?
自信がないから、僕は時々君の気持ちを確かめる。
君の前で、他の女性の肩を抱いたり、抱き締めたり。
仲良く額をつき合わせて話し込んだり。
手をつないだり。
優しく見つめたり。
そうして、君が妬いてくれているのを見て安心する。
僕はまだ、君に好きでいてもらえていると。
・・・酷いことをしているよね?
君がそっと涙を拭っている事も知っているよ。
だけど、他にどうすればいいのかわからないんだ。
君の気持ちを確かめるのに、どうすればいいのかわからない。
だって、君は優しいから。
僕が声に出して訊いても、きっと本当の事は言わない。
僕が君に言って欲しいと願っている事を、言う。
それじゃ、ダメなんだ。
そんなんじゃないんだ。僕が欲しいのは。
でも。
僕が望む答えが君の唇から伝えられる事は無い。
君が「僕への愛情」だと思っているものは、「ただの同情」に過ぎないのだから。
だから、永遠に語られる事は無い。
そうして僕は、同じ事を繰り返す。
君の見ている前で、他の女性の肩を抱く。
君の見ている前で、他の女性を胸に抱く。
そして君が、そっと目を伏せるのを見て安心する。
君はまだ僕を好きだね?
僕が、君以外の女性とこうしているのを見るのは辛い?
それは、僕の事を好きだからだよね?
けれども、君に同じ事をされた今。
僕は初めて知ったんだ。
嫉妬なんて生易しいものではない想いを。
君が、僕以外の男に身を任せている。
切ない瞳で見上げている。
頬を染めて。
そして・・・僕の方を見ない。
まるで、存在していないかのように。
フランソワーズ。
ダメだよ、そんなの。
そんな事をしたら、僕は・・・・
君が見つめる全てのもの。
君が話しかける全てのもの。
そんなの、無くなったっていいだろう?
君の世界に、僕以外の何が必要だっていうんだい?