「ねぇ、ジョー?」
フランソワーズが微かに身体を捻り、背後の彼をちらっと見つめる。
「・・・寝てるの?」
答えはない。
身体の向きを元に戻すと、小さくため息をついた。
起きているのくらい、わかっている。だけど一体、何を考えているのか全くわからない。
背中と背中をくっつけて眠るのは、別にケンカしている訳ではないけれど。
眠れなかった。
フランソワーズが眠っていないのも気付いていた。
でも・・・。
いま口を開いたら、心の中に溜めてきたものを全て彼女にぶつけてしまいそうで怖かった。
もし全てを吐き出してしまったら。
・・・吐き出してしまっても。
彼女は受け止めてくれるだろうか?
背を向けずに、変わらぬ優しさで迎えてくれるだろうか?
自信がなかった。
彼女の優しさ・温かさを失ったら・・・とても、以前のようには生きられない。