でも、すぐに誤解を解かなかったのは、やっぱり私のなかにわだかまりが残っているせいかもしれない。
数ヶ月前の・・・ジョーと、王女様のこと。
ジョーは、王女様のことを好きだった。
だけど、戻って来た。
それでいい。と、思っていた。
だけど・・・
またいつか、彼には好きなひとができるかもしれなくて、そうしたら今度は本当に私の前からいなくなってしまうかもしれなくて。
ねぇ、ジョー。
どうしていつも私だけがこんな思いをしなくてはいけないの?
あなたは私の事をどう思ってくれているの?
それとも
サイボーグにされたおんなのこなんて、イヤ・・・?
『彼』は、ね。ジョー。
私の事を「おんなのこ」として見てくれたの。
「サイボーグにされたおんなのこ」ではなくて。ただの「おんなのこ」。
そうして、まっすぐな瞳で見つめてくれた。
だから、「改造されていなかったら」こんな風に一緒に歩いていたのかなーって、思ったの。
あなたの知らない誰かと。
でもね。
私、やっぱりあなたじゃないと駄目だった。
あなたがどうなのかは知らないけれど、でも私はあなたじゃないと駄目なの。
それを知ったの。・・・彼と一緒に居る時に。
だって。
彼と一緒に居る時も、私が思うのはあなたのことばかりだったから。
フランソワーズの腕が、そっと僕を抱き締めた。
フランソワーズ・・・?
訳がわからず、ただじっとしているしかなかった。
だって、君の気持ちがわからない。
更に、いま君と話して、果たしてマトモな会話ができるのかどうか自信がない。
心の中のありったけをとめどなく君にぶつけてしまいそうで、怖くて口を開けない。
だって、君はこんな僕を知ったら、きっと去っていってしまうよね?
君をひとりじめする為なら、誰が傷ついても構わない・・・なんて思う僕を。
呆れるよね?そしてきっと軽蔑する。
だけど、どうしようもないんだ。
君が差し出すその手を、僕は握ってもいいのかい?
すぐに振り払われたらどうしよう、って、そればかり考えてしまうんだ。そうして怖くなって。
あとはぐるぐる同じ事を考え続けるだけ。
フランソワーズ。
君は、本当の僕を知っても、僕の事を好きでいてくれる・・・?