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 うっすらと意識が戻ってくる。 周囲の音が少しずつ聞こえてきて 
 「――・・・?まだ――」 
 何だ? 
 「だめ――うごか・・・で――」 
 何を言って 
 身体を動かそうとして気付く。 何も動かない。 
 俺の手はどこだ? 
 俺の足は? 
 俺の・・・身体は? 
 意識だけはしっかりあるのに、周りのものが何も見えない。何も聞こえない。ただ、真っ白いなかに自分の意識だけがぽっかりと浮かんでいた。 
 俺は・・・意識だけしかないのか? 
 その瞬間。 
 「ダメ!動かないで!!」 
 大音量の声と共に――スイッチが入ったように映像が入った。 
 「ジョー!!」 
 俺は―― 
 
 
 生きていた。 
 
 
 *** 
 
 
 新しい身体は中々慣れなかった。けれど、気に入った。 新しい身体は以前よりも精巧だったから、ネジの締め具合ひとつでも身体のバランスが変わってしまい、しばらくは歩くのさえやっとの状態が続いていた。 心配顔のメンバーも、俺の身体が復元されたことを確認してから三々五々故国に帰っていった。 003は帰らなかった。 001と博士を置いては帰れないという。 ――全く、不愉快だった。 まるで腫れ物に触るように。 壊れ物を扱うように。 薄っぺらい、好意。 彼女はいつでも優しい。 肯定しか、しない。 微笑みながら。 ――何だよ、それ。 そんな好意なんか――俺は今までいやというほど色んな人から貰っている。 
 
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