「そりゃ・・・行かないよ」

ずっと胸にわだかまっていた事を吐き出したのに、恋人の答えは冷たかった。
あっさりと否定された。しかも当然のように。

「僕は君の公演には絶対に行かない」
駄目押しのように告げられる。
胸の奥が重く冷たくなってゆく。

「・・・どうして?」
「ん?」
「どうしてミナのには行って、私のには来てくれないの」
「行きたくないから」

更に駄目押しのひとこと。
「・・・そう」
「うん。そう」

沈黙。

さっきまで、久しぶりのコンサートに二人で行く事にはしゃいでいたのに。
嬉しかった気持ちが急速に冷えていく。

どうしてこうなっちゃうんだろう。
確かに私はヤキモチを妬いていた。
だけど。
ミナのには行って、私のには来ない。
行きたくない、って言った。
・・・どうして?
私は、ジョーのレースは全部観ているのに。
好きなひとの姿は、観たいと思うものじゃないの?

・・・いつも、そう。
ジョーの気持ちがわからなくなる。
そうすると私は混乱して・・・気持ちが冷たくなってゆく。