緊急企画

「さいぼーぐ・しまむらくん 我が家へ来る」

 

「わかった。ぜんぶ、はなすよ」
あっけなく、お嬢さんとの約束を反古にしてしまうかめ。(おいこら)
そのかめの言葉に、ジャグリングしていた手を止め、改めて甲羅をがっしと掴みじっとかめの小さい目を見るジョー島村。
にっこり♪「いい子だ」

さて。
お嬢さんの「相談」というのは。
ある意味「ミッション」と呼べなくもないけれど、実はかめのしまむらにしか出来ない事だったのです。
つまり
「ジョーの言ってることが、本当か嘘か調べて欲しいの」
穏やかではありません。
確かこの二人は今、らぶらぶモード全開な筈だったのでは?
しかも、お嬢さんの口調からすると、ジョー島村は何かを隠しているような雰囲気。
・・・ふらんそわーずに、隠し事?
怪訝に思いつつも、自分も思い当たる事がなくもないので(こら)、複雑な思いを抱きつつ、了承したかめだったのです。
本当は、こそっと調査する予定だったのですが・・・

ソファに座っているジョー島村の前のテーブルに載っている、かめのしまむら。
「・・・つまり、フランソワーズは何かボクを疑っている・・・と、そういうこと?」
こくこく。思い切りうなづくかめ。下手したら首がもげそうです。
縫い目からウレタンがちらっと見えています(さっきジョーに手荒に扱われた名残なのです)。
「ふぅん?・・・何を疑っているんだろうなぁ・・・」
ぽかんと虚空を見つめるジョー。
「全然、わかんないや。・・・で、何?」
改めてかめを見つめ。
かめは一生懸命、質問を始めました。お嬢さんから聞いた内容に基づいて。

「えっ?・・・そりゃ、この前遅く帰ったよ。それは本当。だけど、レーサー時代の仲間との飲み会で・・・
うん。そう。ちゃんとフランソワーズにも話したよ。・・・酔ってないよ。ちゃんと自分で歩けたし。
・・・だって、帰ったのは夜の2時だぜ?遅いうちに入らないだろう?
そんなことで今更いちいち怒らないよ、フランソワーズは。・・・で、話ってそれだけ?」
それだけではないのです。
言いづらいことを後回しにしていたのです。
どうでもいい質問で、ジョーの舌が滑らかになった頃合を見計らって放つつもりだったのです。
けれども、この質問って、なんとなーく自分にも跳ね返ってきそうで嫌だなーとも思っていたのです。
でも、もう言うしかありません。
勇気を振り絞り、言葉に出してみました。
「・・・その飲み会って、おんなのこ、も、いたんだよね?」
間。
・・・・・・。
「・・・なんで?」
褐色の瞳が揺れます。
なんだか動揺しているように見えるのですっ!!
まさか。
らぶらぶに見える二人の姿は偽りだったのでしょうか?