こんなちからなんて要らない。
あなたを助ける事もできない。
ただ、視ているだけ。
あなたが失くなってゆくのを。
こんな目なんて要らない。
だけど
あなたの言葉が聞こえたとき
私は自分のちからに感謝した。
あなたの声を聞くことができた。
遥か上空50キロ
ぎりぎりの、あなたの声。
だけど
本当は、もっと近くで聞きたかった。
だって
ずるいわよ。
今まで一度も言わなかったくせに、最期に言うなんて。
私にこのちからが無かったら、どうしていたの?
・・・ううん。
ちからがあったから、だから・・・言ってくれたの、よね?
そうよね・・・?
私にだけ、聞こえるように。
だけど
やっぱり、あなたはずるい。
私にあなたの声は聞こえても
あなたに私の声は届かない。
私だって、あなたに伝えたかったのに。
言えなかったの、後悔しているのに。