−1− 私って、そんなに「お母さん」っぽいかしら? 鏡に映った自分の顔を見つめ、ため息をつく。 違うわよね? だって私は、カールを好きにはならなかった。 |
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買い物から帰ると、リビングにひとりポツンとジョーが居た。 「ジョー?博士たちは?」 「イワンも一緒なの?」 ジョーは窓から外を見ている。遥か彼方の海を。 「ジョー?」 「・・・何を考えているの?」 そっとジョーの肩におでこをつける。 「ううん。・・・私ね、アナタに伝えたいことがあるの」 そう言った途端、ジョーの身体がびくっと揺れた。 「ふ、フランソワーズ?」 じっと凝視している。私の顔を。 「ジョー?いったい、どうしたっていうの?」 でも答えない。黙ってじっと見つめているだけ。 お互い少し離れ、じっと見つめあったまま数分が経過した。 「フランソワーズ・・・ほんもの?」 「何?・・・もう、バカなこと言わないでよ、ジョーったら」 そう言った途端、ジョーの眉間に皺が寄った。
「――寄らないで」 「・・・フランソワーズ?」 わけがわからないよと言って伸ばしてくる手を避けて、邸の外に出る。 そして。 あとは閃光。 |
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