「フランソワーズ!!」
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「あら、ジョー。どうしたの?」
僕だけだ。 こんな――いつもよりも数段可愛い彼女を他の男のもとにみすみす行かせる男がいるだろうか?
そうすれば彼女もことの重大さを認識するだろうか。
ナインもスリーを見つめた。
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ゆらりと物影から出てきたジョーの姿にフランソワーズは息を呑んだ。 いつもの優しい瞳と違う――ような気がする。
「ふうん。本気だったんだ」 フランソワーズはジョーの真意を測りかね、ただじっと彼を見つめるばかりだった。
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声がしたのと目の前に竜巻が起こったのが同時だった。
確か、時間も場所も教えてないはず。 目の前の赤い色は防護服の色だった。 それでも、びゅんびゅん飛んでいく景色は見えなかったし、何より、凄まじい風の音と圧力でただただ彼の胸に顔を伏せているしかなかった。 時間にすれば数秒だっただろうか。 不意にそれら全てが消えて、辺りは静寂に包まれていた。
暗褐色の瞳。 ジョーは――怒っていた。
フランソワーズの口元に笑みが浮かんだ。 「そう・・・当たり前なのね」 「だって・・・ばかなんだもの」
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